日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日语随笔集 » 正文

「つづき」

时间: 2017-02-24    进入日语论坛
核心提示: 母が認知症になった。八十三歳という高齢だったので、多少は覚悟していたものの、改めて診断がくだると、息子の私としては、シ
(单词翻译:双击或拖选)
 母が認知症になった。八十三歳という高齢だったので、多少は覚悟していたものの、改めて診断がくだると、息子の私としては、ショックだった。教師を退職してから、俳句の会、童話の会などに所属して、多くの趣味に第二の人生を充実させていただけに、なおさらの事だった。本人、そして家族のために、介護老人ホームに入所させた。
 妻と一緒に、母のいなくなった部屋を整理していると、机の中から原稿用紙が出てきた。そこには「小さな国の大きな木」といった題名の童話が書かれていた。始まりは……
 昔、だれも知らないくらい小さな国の中心に、小さな公園がありました。小さな公園の中心に、大きな大きな木がたっていました。もう何百年も、その大きな木は、国中を見守っていました。
 小さな国の王様は、自分のお城を国の中心につくろうと思いました。それには、小さな公園と大きな木がじゃまでした。王様は、春になったら、大きな木を切ってしまおうと、考えました。春になりました。王様と木こりは、木を切りに公園にやってきました。ところが…。
 といったところで、文章は終わっていました。
 私が思うに、母はこの作品をどこかに公募か、発表をしたかったのだろうと思いました。
 私は、この作品のつづきを書く決心をしました。母の童話のコンセプト、そして何よりも、母の性格を私が、一番良く知っているからです。何パターンも考えて、そして何回も書き直して、童話らしきものを、完成させ、母の所属していた童話の会に、提出しました。会長は、大変喜んで、一生懸命その場で読んでくれました。私のつくった拙(つたな)い文を…。
 ところが、大きな木には、たくさんの鳥たちが、大きな木の枝にとまっていました。冬の旅のつかれを、いやしているようでした。
 「今、この大きな木を切ってしまうと、鳥たちにつつかれてしまう。夏になったら切りにこよう」
 といって、木こりと一緒に帰っていきました。夏になりました。王様と木こりは、木を切りに公園にやってきました。ところが、大きな木には、国中の子供たちが、木に登って遊んでいたり、木によりかかって本を読んでいたり、こかげで昼寝をしたりしていました。
「今、この大きな木を切ってしまうと、国中の子供たちを悲しませてしまう。秋になったら切りにこよう」
 といって、木こりと一緒に帰っていきました。秋になりました。王様と木こりは、木を切りに公園にやってきました。ところが、大きな木には、たくさんの動物たちが、木になっている実を、食べていたり、かれ葉や、かれ枝を集め、冬眠の準備をしたりしていました。
 「今、この大きな木を切ってしまうと、動物たちにかみつかれてしまう。冬になったら切りにこよう」といって、木こりと一緒に帰っていきました。冬になりました。王様と木こりは、木を切りに公園にやってきました。ところが、大きな木には、雪がつもり、たくさんの家族が、集まり、世間話をしていました。そして、そのまわりで、子供たちが、雪合戦をしたり、ソリ遊びをしたり、雪だるまをつくったり、楽しそうに遊んでいました。
 「今、この大きな木を切ってしまうと、あの家族たちの、楽しみを奪ってしまう」
 「春は鳥たちが、夏は子供たちが、秋は動物たちが、冬は家族たちが、あの大きな木を、必要としている。私はあの大きな木を切る事をやめる」
 といって帰っていきました。春になりました。大きな木にはたくさんの鳥たちがとまっています。大きな木はその鳥たちを、うれしそうに見守っています。これから先も、何年いや、何十年と変わる事なく、大きな木は、自分のまわりに、集まってくるものたちを、見守っていく事でしょう。国に住む、人々の笑い声と一緒に。(終)
 母が、この物語を、どう表現しようとしていたかは、今となっては誰もわかりません。しかし、私の知ってる母ならば、きっとこんな結末にすると、確信しています。誰にでも優しく接して、そのくせ、自分ばかり傷ついて、そんな母ならきっと…。
 優しい春風の吹く四月、母は何も知らず、車イスに乗って、老人ホームの窓から、笑顔で花畑の花を見ていました。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%