日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日语随笔集 » 正文

「吉田先生」

时间: 2017-02-24    进入日语论坛
核心提示: 私には忘れられない先生がいる。小学校三、四年生の時、担任だった吉田先生。母よりもずっと年上で、声を荒げて叱ることはなか
(单词翻译:双击或拖选)
 私には忘れられない先生がいる。小学校三、四年生の時、担任だった吉田先生。母よりもずっと年上で、声を荒げて叱ることはなかったが、威厳のある女の先生だった。いつもこわい顔をしていたので、クラスのお調子者の男の子も先生の前ではふざけることは無かった。
 その頃、私はクラスにいるかいないかわからない、目立たない生徒だった。成績は悪かった。通信簿は五段階評価の2と3ばかりだった。
 毎回、通信簿の備考欄に小さい字で、はみ出すほどのコメントがびっしりと書かれていた。当時、一クラス五十人近くの生徒がいた。先生は目立たない私をよく見ていた。
 いつも一人でいる。ぼんやりしている。話さない。忘れ物が多い―多くの注意事項の後に毎回必ず「本が好き、作文上手」と書かれていた。その一文で母も私も救われた。
「ユミ子は本が好きだから、作文上手なんだね」
 母は他のことにはふれず、ほめてくれた。
 母は「勉強しなさい」と私に一度も言ったことがなかったが、時おり心配そうに聞いた。
「学校は楽しい? 友だちはいる?」
 明るく活発な二人の姉と比べて、大人しく引っ込み思案な末っ子の私を母は心配していた。わが家は母子家庭だった。そのせいで末っ子が暗い子になったのではと、母は気に病んでいたようだ。
「うん、いるよ。楽しいよ」
 そう答えて少し胸が痛んだ。半分嘘で半分本当だったからだ。友だちはいなかった。でも学校は楽しかった。学校には本がたくさんあった。休み時間に学級文庫の前に座り込んで本を読むのが楽しみだった。
 ある日のことだった。終わりの会の後、教室を出る前に私はいつものように先生の所へ行った。先生はいつも終わりの会の後、しばらく教室にいた。先生に「さよなら」を言って帰るのが習慣になっていた。
 「太田さんはどうして、いつも先生に『さよなら』を言いに来るのですか?」
聞かれたことがあったが、どうしてか分からなかった。たぶん、いつもこわい顔をしている先生がその時は笑顔で「さようなら」と言ってくれるのが嬉しかったのだろう。
「先生、さようなら」
「さようなら。あっ、ちょっと待って!」
 先生は私を呼び止めた。
「太田さん、図書係をやってみませんか? 図書室の先生がお手伝いしてくれる生徒を探しているそうです」
 何事にも引っ込み思案だったが、私は図書係を引き受けた。図書室は大好きで、よく行って本を借りていた。
 図書係は忙しかった。本を整理したり貸し出しカードを作ったり、貸し出しや返却の手続きをしたり。せっかく本に囲まれているのに、本を読む暇がなかった。
 一緒に図書係をしていたのは六年生のお姉さんで、優しく親切に教えてくれた。全てが初めてのことで楽しかった。口下手で引っ込み思案な私だったが、図書室に来る人たちにはスラスラと話が出来た。同級生もよく本を借りに来た。
「太田さんって、こんなにしゃべるんだ。転校してきた時、話しかけても本ばっかり読んでいて、なにも話してくれなかった。さびしかったよ」
 同級生の小林さんに言われて胸が痛んだ。本が好きだけど、本ばっかり読んでいてはダメだと気が付いた。本を通じて友だちもポツポツ出来た。小林さんは一番の友だちになった。
 吉田先生は時おり図書室にやって来た。私の様子を見に来ていたのかもしれない。
「太田さん、司書みたいですね」
「先生、司書ってなんですか?」
「本の知識がある人のことです。試験に受かると司書の資格が持てます。図書館で働く人はたいてい持っています」
 むつかしそうだけど、司書の資格を取って図書館で働いてみたいと思った。家に帰って母に話すと、喜んでくれた。
「夢が出来てよかったね。吉田先生はいい先生だね」
 通信簿の備考欄は相変わらず吉田先生のコメントがびっしりだったが、注意事項は減っていた。そして、いつもの最後の一文「本が好き、作文上手」の後に「図書係がんばっています」が書き加えられていた。
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%