その緑地は、人通りも少なく大きな池などもあり、子供達だけで行くことは、地元の学校で禁止されていました。PTAの役員さんが、定期的に見回りをされていたようです。
父と二人でバトミントンをしていたその時です。
「子供達だけで、ここに来てはダメでしょう」
と少し離れたところから女性の大きな声が聞こえてきました。
事情が飲み込めず“ポカン”としていた私達(特に父)。
「あれだけ何度も注意しているのに! 何年生かな? 担任の先生は?」
と、三~四人のおばさんが近づいてこられました。顔がはっきりと識別できる所まで来られたその時、
「あっ!子供じゃない。お父さんだ」
「すみません。失礼しました」
四十二歳でありながら小学生に間違えられた父は、恥ずかしさを押し隠し、憮然としてそこに立ち尽くしていました。
笑い転げていた私。でも実はね、お父さん。本当は、とても嬉しかったのですよ。だってそんなに若く見えてかっこいい父だ、とみんなが認めてくれたことになるのだから。
今度は一緒に、十七歳になった私と腕でも組んで歩きましょうよ。必ず恋人どうしに間違ってもらえますよ。ねぇ、お父さん。