そんな七人家族の我が家で大切にしてきたのは一緒に食事をすることです。父も母も仕事を持っていて毎日忙しいのですが料理が大好き、休日の夕方は二人で台所です。兄姉が部活動で少々遅い日の夕食も、模試の日の朝食も、できる限りみんなそろって食べてきました。みんなで話したいことがたくさんで賑やか、次に話したい人が手を挙げたり、途中で突然自分の話をし始めた人を「話泥棒」と呼ぶ言葉が生まれたり、とおいしいものを食べながら笑い合ってきました。片付けはお風呂に先に入らない人で分担。昼間はちょっとぐらい嫌なことがあってもその日の夕食の時間でリセットできたように思います。
その後、三人の兄や姉は就職や進学で我が家を離れ、今年の四月から四人兄弟の中の私だけがこの家にいます。父も母も祖母も、「静かだな」「ご飯作りすぎた」「洗濯物が減ったね」と何だか寂しそうです。私も何か足りないようなあるべきものがないような、そんな気持ちです。五月の連休に三日間だけ七人が揃いました。久しぶりの一緒の夕食、食事が終わってもずっとみんなで話しました。
一緒にいること。食べること。家族がつながることの原点はここなのかもしれません。前を見て進んでいく力は、家族が共有する時間が与えてくれるのではないか、と今改めて家族の有り難さを思っています