確かに、楽しいこともありました。友だちが助けてくれました。先生も、先輩たちを説得してくださいました。でも、直らなかった。
学校から疲れきって帰って来ると、決まって、お母さんは、言いました。
「よく、頑張ったわね。偉かったよ。」
私は、正直言って、学校は、頑張って行くところではないと思っていました。
一年が終わろうとしていた頃、お父さんが言ってくれました。「学校、転校しようか。」
私は、涙を抑え切れませんでした。でも、お母さんは、その時、こう言いました。
「嫌なことから逃げるばかりで、いいの。」
私は、寂しかった。お母さんは、何もわかっていないと、思いました。
私は編入試験を受け、女子校に移りました。五月、郵便受けを見ると、一通の手紙が届いていました。お母さんからでした。
「達美が、先輩から意地悪されるのが嫌で、学校をやめたいって言った時、お母さん、我慢しなさいって言ったよね。お母さん、ひとつだけ気づいてほしいことがあったの。嫌なことや、自分一人では、どうしても手に負えないことが、これからあると思うの。そんな時、踏ん張ってみるの。それでもだめなら、別のことを考える。そんな人になってほしかったの。達美は耐えたわ。偉かったよ。達美は、強くなったものね。今は、いいお友だちに恵まれ、輝いている。達美、偉かったよ。」
お母さんも、私の気持ちをわかってくれていたのです。私は、両親の愛に支えられ、また、強くなりました。