ある日、参観日に母は来なくなった。その事を最近まで思い出す事もなかった。 月日は経って、私も母親になった。とても可愛い、男の子。顔も手足の形も、爪の形も私にそっくり。話し始めると声も話し方も私にそっくり。
お母さんにそっくりね、そう言われる度に私は嬉しくて嬉しくてたまらなかった。自分に似ている分、その分可愛くてもっと言って欲しいくらいだった。
そんな息子が今年幼稚園に入園した。参観日。。とても楽しみにしている今の自分。
ふと、母の顔が蘇る。
『今日、お母さんに似てるって笑われた。恥ずかしいから参観日来て欲しくない』
私は確か、こんな事を参観日の度に母に言った気がする。5年生になった時、母は参観日に来なくなった。
あの時、母はどんな気持ちだったんだろう。本当は先生の問いに元気に手を挙げているところを見て欲しかった。帰ったら、参観日で手を挙げた私を褒めてくれた優しい母だった。恥ずかしかったから、。ただそれだけの理由で母を拒否して傷つけた。
息子は私と似ている。性格も何もかも。
きっといつか言うだろう。私が母に言ったひどい言葉を。
でも、私はその言葉に負けずに息子を見に行く。きっと彼も、本当の気持ちは私と似ているだろうから。負けずに見に行こうと思う、。
そして、初めての参観日を終えたら、母に謝ろうと決めている。