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頭をはなれた帽子

时间: 2022-09-13    进入日语论坛
核心提示:頭をはなれた帽子小川未明 三郎(さぶろう)は、往来(おうらい)で、犬(いぬ)と遊(あそ)んでいるうちに、ふいに、自分(じぶん)のか
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頭をはなれた帽子

小川未明

 


 三郎(さぶろう)は、往来(おうらい)で、(いぬ)(あそ)んでいるうちに、ふいに、自分(じぶん)のかぶってい帽子(ぼうし)をとって、これを(いぬ)(あたま)にかぶせました。
 ポチは、()()えなくなったので、びっくりして、あとずさりをしました。それに、(ぼっ)ちゃん大事(だいじ)帽子(ぼうし)をよごしたり、いためたりしては、わるいと(おも)ったので、遠慮(えんりょ)するように()えたのであります。
「ポチ、帽子(ぼうし)をかぶって(ある)くんだよ。」と、三郎(さぶろう)は、いいました。
(わたし)は、帽子(ぼうし)はいりません。」と、(こた)えるように、ポチは、()をぴちぴちと()って、帽子(ぼうし)(あたま)(うえ)から()としました。
 三郎(さぶろう)は、いやがるポチの(あと)()いかけて、こんどは、無理(むり)帽子(ぼうし)(あたま)からかぶせて、
「おまえに、この帽子(ぼうし)をやるよ。」といいました。
 すると、こんどは、ポチは、(よろこ)んで、もうだれにも遠慮(えんりょ)もないと(おも)ったごとく、帽子(ぼうし)をくわえて、()()がりながら、()()しました。
「おまち、ポチ、おまち。」といって、三郎(さぶろう)はその(あと)()いましたけれど、ポチは、さっさと、帽子(ぼうし)をくわえてどこへかいってしまいました。
 三郎(さぶろう)は、後悔(こうかい)しましたけれど、しかたがありません。ポチは(ぼっ)ちゃんから、帽子(ぼうし)をもらって、うれしくて、()()きどころがないように、方々(ほうぼう)帽子(ぼうし)をくわえて()けまわっていました。
 しかし、いくらうれしくても、(いぬ)には、帽子(ぼうし)必要(ひつよう)がなかったのでした。こうして、帽子(ぼうし)をくわえて(あそ)んでいるうちに、ふと、ポチは()ねずみかなにかを()つけました。(かれ)は、帽子(ぼうし)(くち)から(はな)すと、こんどは、()ねずみを()らえようとして、()いかけました。
 ()ねずみは、よっぽど(いぬ)よりりこうで、すばしこかったので、(ちい)さな(からだ)木株(こかぶ)のあたりに(ひそ)めたかと(おも)うと、もう、姿(すがた)は、()えなくなってしまいました。
「あいつ、どこへ(かく)れたろう。」と、ポチは、あちらの()(した)や、こちらの(くさ)()()けて(さが)していましたが、ついに()つからないので、あきらめてつまらなそうな(かお)つきをして、お(うち)(おも)()して(かえ)っていったのです。
 (みち)のかたわらに、小学生(しょうがくせい)のかぶる帽子(ぼうし)が、()てられて()ちていました。そこへ、帽子(ぼうし)()たない工夫(こうふ)(とお)りかかって、その帽子(ぼうし)()つけました。
「こんなところに、子供(こども)帽子(ぼうし)()ちている。(とも)だちどうしでけんかでもして()てたのかな。」といって、(ひろ)()げました。
子供(こども)のでは、(おれ)(あたま)()うまい。」と、いいながら、自分(じぶん)(あたま)にのせてみました。すると、帽子(ぼうし)は、(あたま)半分(はんぶん)ほどはいったのです。工夫(こうふ)は、子供(こども)帽子(ぼうし)をかぶって(みち)(ある)いたのでした。
 工夫(こうふ)は、野原(のはら)(なか)()っている、電信柱(でんしんばしら)(うえ)仕事(しごと)をしていました。故障(こしょう)のある箇所(かしょ)修繕(しゅうぜん)したのです。しかし、(した)()くと、ちょっと(あたま)にかかっている帽子(ぼうし)が、なんだか()ちそうな()がして、()にかかったので、(かれ)は、(あたま)から帽子(ぼうし)()って、電信柱(でんしんばしら)のいただきにかぶせておいたのです。
 (かれ)は、たばこをのみたいと(おも)ったけれど、我慢(がまん)をしていました。そのうちに、仕事(しごと)()わったので、工夫(こうふ)はいそいで()りて、たばこをのみました。そして、帽子(ぼうし)のことなどを(わす)れていました。
 しばらくしてから、(おも)()したが、わざわざ()がって、(やく)にもたたない帽子(ぼうし)()ってくる()になれなかったのでした。
(かぜ)()いたら、そのうちに、ひとりでに()んでしまうだろう……。」と、そんなくらいにしか、(おも)わなかったのです。
 電信柱(でんしんばしら)は、(あたま)に、いままでかぶったこともない帽子(ぼうし)をかぶされて迷惑(めいわく)しました。かれ自身(じしん)には、()がないから、それを()りはらうことができなかった。そして、いままで、遠方(えんぽう)()まわしたのに、いまは、盲目(めくら)になったと(おな)じく、なにも()られませんでした。
「なんで、(わたし)に、こんなものをかぶせたのだろう? ほかに、いくらも、帽子(ぼうし)をほしいと(おも)っているものがあろうのに……。」と、無用(むよう)なことをするものだなと(はら)をたてたのでした。
「だれか、このじゃまな、帽子(ぼうし)をとってくれないものかな。」と、電信柱(でんしんばしら)は、ひとり(ごと)をしました。しかし、(かぜ)よりほかには、(かれ)(うった)えを()くものがありません。
(かぜ)さん、(かぜ)さん、あなたの(ちから)では、このじゃまものをとり()ることができませんか?」
「さあ、ひとつやってみましょう。」と、(かぜ)は、(こた)えて、電信柱(でんしんばしら)にかぶさっている帽子(ぼうし)()()ばそうとしました。けれど、帽子(ぼうし)が、ちょうど(はしら)にはまっているとみえて、なんの(やく)にもたたなかったのです。
 電線(でんせん)にとまった、おしゃべりのすずめは、(はしら)がみょうなものをかぶって、(こま)っているのを()てチュウチュウ(わら)っていました。
 ある(ばん)(つき)は、この不幸(ふこう)電信柱(でんしんばしら)をなぐさめ(がお)に、
「もうすこしの我慢(がまん)ですよ。」といいました。
 ある()のこと、(そら)に、するどい羽音(はおと)がしました。電信柱(でんしんばしら)はもう(あき)になったから、いろいろの(とり)(あたま)(うえ)(わた)るけれど、こんなに力強(ちからづよ)く、(はね)(きざ)(とり)は、なんの(とり)であろうと(かんが)えていました。
 それは、わしでありました。(ひか)()下界(げかい)()おろしながら()んでゆくうちに、わしは電信柱(でんしんばしら)のかぶっている帽子(ぼうし)()つけて、つーうと()りると、それをさらっていってしまったのです。電信柱(でんしんばしら)には、まったく、(おも)いがけないことでした。はじめて()()けたような()がしました。
 その()三郎(さぶろう)も、(いぬ)も、工夫(こうふ)も、そして、電信柱(でんしんばしら)も、この帽子(ぼうし)行方(ゆくえ)について()ることができなかった。ただひとり、(つき)だけは、世界(せかい)じゅうを(たび)しますので、それを()りました。帽子(ぼうし)(やま)(はやし)のわしの()()ってゆかれて、その(なか)に、三()のわしの()がはいって、あたたかそうに()から(あたま)()していました。

 

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