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初夏の不思議(1)

时间: 2022-11-07    进入日语论坛
核心提示:初夏の不思議小川未明百姓しょうのおじいさんは、今年ことしばかりは、精せいを出だして、夏なつのはじめに、早はやくいいすいか
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初夏の不思議

小川未明


しょうのおじいさんは、今年ことしばかりは、せいして、なつのはじめに、はやくいいすいかをまちしたいとおもいました。
おじいさんは、肥料こやしをやったり、つるをのばしたりして、毎日まいにちのように、はたけては、
「どうかいいすいかがなりますように。」と、こころなかで、太陽たいよういのりました。そのかいがあって、いいすいかがなりました。おじいさんは、あるあさそのすいかをくるまにのせてまち八百屋やおやってゆきました。
「まあ、みごとなすいかですね。」と、それをた、八百屋やおや主人しゅじんもおかみさんも、びっくりしました。
今年ことしは、丹精たんせいのかいがあって、いいやつがなりました。」と、おじいさんは、ほくほくしました。
「それに、いつもよりか、はようございましたね。」と、八百屋やおや主人しゅじんがいいました。
「おさまのりあんばいが、ばかにようございましたもので、こんなにいいやつがなりました。」と、おじいさんは、よろこんで、自分じぶんつくったすいかをながめながら、たばこをぱくぱくとすっていました。
「そうですとも、なかなかの丹精たんせいじゃありません。」と、八百屋やおや主人しゅじんもおかみさんも、おじいさんに同情どうじょうをしないものはありませんでした。
おじいさんは、すいかを八百屋やおやおろして、自分じぶんはまたしずかな平和へいわむら空車からぐるまいてかえってゆきました。これから、つぎつぎと生長せいちょうするはたけ野菜物やさいものをいれてやらなければなりません。それで、おじいさんは、なかなかひまというものがありませんでした。
八百屋やおや主人しゅじんは、小僧こぞうびました。
「このすいかをかついでて、ってこい。」といいました。
すこしたかいが、はしりではあり、こんなにいいのだから、れないことはないと、主人しゅじんかんがえました。
「もう、半月はんつきもたちゃ、すいかだってめずらしくはない。いまならってもれるだろう。」と、主人しゅじんは、つけくわえていいました。
小僧こぞうは、遠方えんぽうから、このみせやとわれてきていました。正直しょうじき少年しょうねんでありましたが、まれつきものをいうときに、どもるくせがありました。そして、めばますますどもるのでありました。だから、小僧こぞうがものをいう時分じぶんには、みみたぶがあかくなって、平生へいぜいでさえ、なんとなく、そのようすがあわれにられたのであります。
小僧こぞうは、主人しゅじんにいいつかって、両方りょうほうのかごにいくつかのすいかをけていれました。それをかついで、まちなかってあるきました。また、さびしい屋敷町やしきまちほうへと、はいっていったのであります。
あるいえまえへきましたときに、おんなめました。いえなかから、もうそんなにわかくはない、としをとったおんなてきて、
「どれ、すいかをせておくれ。」といいました。
小僧こぞうは、かたからかごをおろしました。
おんなは、かごのなかをのぞいて、いろいろすいかをってていましたが、そのうちに、一つ一つ、をききはじめました。小僧こぞうは、どもりながら、そのをばこたえました。
「なんて、たかいすいかだろう。」と、おんなは、びっくりしたように、おおきなこえでいいました。
「お、おくさん、まだすいかは、はしりですから、た、たかいのでございます。」と、小僧こぞうは、どもりながらこたえました。
おんなは、小僧こぞうのいうことをはなさきで、嘲笑あざわらうようなようすをして、
「だって、もう、半月はんつきもたてば、その半分はんぶんだってしないよ。だれが、そんなたかでこのすいかをうもんか。」と、おんなはいいました。
おくさん、そういわんで、ど、どうか、ってください。」
小僧こぞうさん、二十せんまけておきよ。おまえが、一にちってあるいたって、れはしないから。」と、おんなは、そのなかで、いちばんおおきなすいかをりあげていいました。
「お、おくさん、わたしは、主人しゅじんから、そのでなければ、う、ってきては、いけんといわれました。」と、小僧こぞうは、みみたぶをにして、こたえました。
「それでは、まからないのかい、じゃ、いらないよ。」
おんなは、邪慳じゃけんにいって、りあげていたいちばんおおきなすいかをすように、かごのなかとしました。あまり、手荒てあらであったため、おおきなすいかは、したのすいかにぶつかってきずがつきました。
小僧こぞうはびっくりいたしました。
「お、おくさん、こんなにきずがついてしまいました。傷物きずものになっては、主人しゅじんにいいつかったでは、どこへいったってれません。ど、どうかこのすいかをってください。」と、かおあかくして、たのみました。
「なに、わたしが、そんなことをったものかね、わたしは、したいたばかしなのだよ。」と、おんなは、邪慳じゃけんにいって、相手あいてにしませんでした。
このさまをだれもていたものはありません。ただ、太陽たいようだけが、そらから、ながめていました。小僧こぞうは、途方とほうにくれて、に、いっぱいなみだをためていました。
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