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少年の日の悲哀(3)

时间: 2022-11-07    进入日语论坛
核心提示:三ある日ひの朝あさ、三郎さぶろうは起おきて外そとに出でますと、いつも喜よろこんで駆かけ寄よってくるボンが見みえませんでし
(单词翻译:双击或拖选)


あるあさ三郎さぶろうきてそとますと、いつもよろこんでってくるボンがえませんでした。かれ不思議ふしぎおもって口笛くちぶえらしてみました。けれど、どこからもボンのはしってくる姿すがたいださなかったのであります。
「ボンはどこへいったろう。」
おもって、三郎さぶろうくちにボンのびながら、あっちこっちとさがしてあるきました。けれど、ついにそのかげかたちなかったのです。三郎さぶろうとなりのばあさんが、いつかねこえなかったときに、きちがいのようになってさがしてあるいたのをおもして、あのときはねこかくしてわるいことをしたと後悔こうかいいたしました。
ちょうどそこへ、となりのばあさんがきかかりまして、
「こんなにはやく、なにをしておいでだい。」
と、ばあさんはきました。
「ボンがえなくなったのでさがしています。」
と、三郎さぶろうがいいますと、ばあさんは、さもうれしそうなかおつきをして、
「そうかい。もう、うち勝手口かってぐちふんをしなくて、それはいいあんばいだ。」
と、ひとごとをしてゆきすぎました。また弱虫よわむし子供こども母親ははおやは、ボンがいなくなったといて、うちそとて、いい気味きみだといわぬばかりにわらっていました。
三郎さぶろうくやしくてしかたがありませんでした。しかし、いくらほうぼうをさがしても、ボンはいなかったのであります。かれは、いまごろボンは、どこにどうしているだろうとおもいました。だれにれられていったものか、またみちまよったものか、あるいはしばられていようか、ほかの子供こどもや、おおきないぬにいじめられていようか、と、いろいろのことをかんがえて、そのねむられなかったのであります。そして、幾日いくにちぎました。そのあいだ三郎さぶろうは一にちとしてボンのことをわすれたはなかったのです。
それから、またしばらくたったあるのことでありました。三郎さぶろうからほどへだたったところをあるいていますと、あるおおきな屋敷やしきがありまして、そのもんまえとおりますと、もんなか子供こどもらといぬとがあそんでいました。
三郎さぶろうはふとのぞきますと、なんで自分じぶんが一にちわすれなかったほどにかわいがっていたボンをわすれることがありましょう。まさしくそのいぬはボンでありました。どうして、こんなところにきたろうと不審ふしんおもいながら、よくていますと、子供こどもらは、たいへんにこのいぬをかわいがっていました。三郎さぶろうは、しばらくってこのようすをていましたが、ボンは、いまだ三郎さぶろうつけませんでした。そこで三郎さぶろう口笛くちぶえらしました。するといぬは、この口笛くちぶえきつけて、きゅうがってこっちへけてきました。そしてよろこんでクンクンいて三郎さぶろうにすがりつきました。三郎さぶろうはまたうれしさのあまり、いぬげていぬなかほおをうずめました。
もんなか子供こどもらは、たいそうこのさまおどろきました。そして、いぬあとってもんのところまでてきてみますと、もはやいぬよそをもふりかずに三郎さぶろうについてあっちへゆきかけますので、なかにも一人ひとり子供こどもは、しくしくこえをたってしました。
きみ、そのいぬをつれていってはいけない。」
と、そのうち一人ひとりが、三郎さぶろうかっていいました。
「これはぼくのかわいがっていたボンだよ。十日とおかばかりまええなくなったのだ。いま、つけたから、つれてかえるんだよ。」
と、三郎さぶろうこたえました。
「ああ、そんならきみのところのいぬだったのかい。十日とおかばかりまえに、牛乳屋ぎゅうにゅうやがいいいぬひろってきたといってくれたのだよ。そんなら、それはきみうちのだかい……。」
といって、子供こどもらは残念ざんねんそうにしてっていました。なかにも一人ひとり子供こどもはやはりいていました。
このようすをますと、三郎さぶろう子供こどもらがかわいそうにおもわれました。あんなにいぬ大事だいじにしてかわいがってくれるなら、いっそのこと、このいぬ子供こどもらにあたえようかというかんがえがこったのです。そして、ふたたび自分じぶんうちへつれてかえると、となりのいじわるいばあさんがまたいぬをしかるばかりでなく、あの弱虫よわむし子供こども母親ははおやまでがいぬをいじめるとおもいました。いっそいぬ子供こどもらにあたえたほうが、かえっていぬのしあわせになるかもしれないとおもいましたので、
きみらがいぬをかわいがってくれるなら、このいぬきみらにあげよう。」
と、三郎さぶろうはいいました。
「ああ、ぼくらは、ほんとうにかわいがるから、どうかこのいぬをおくれよ。」
といって、子供こどもらは意外いがいなのに、おどろかんばかりによろこびました。そして三郎さぶろうから、そのいぬをもらいました。ひと三郎さぶろうは、なごりしそうにしてさびしく、一人ひとりほうかえっていったのであります。
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