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白いくま(1)

时间: 2022-11-13    进入日语论坛
核心提示:白いくま小川未明そこは、熱あつい国くにでありました。日ひの光ひかりが強つよく、青々あおあおとしている木立こだちや、丘おか
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白いくま

小川未明


 

そこは、あつくにでありました。ひかりつよく、青々あおあおとしている木立こだちや、おかうえらしていました。
このくに動物園どうぶつえんには、熱帯地方ねったいちほうさんするいろいろな動物どうぶつが、くに動物園どうぶつえんには、とうていられないほどたくさんありましたが、さむくににすんでいる動物どうぶつは、なかなかよくそだたないものとみえて、あまり、数多かずおおくはありません。そのなかに、一ぴきのしろいくまが、みんなからめずらしがられ、またかわいがられていました。
なにしろ、木立こだちやわらかなが、きらきらとひかって、いつかはあめのようにけてしまいそうにみえるほどのあついところでありましたから、さむい、さむい、氷山ひょうざんうえにすんでいるしろくまをっておくことは、まったく容易よういではなかったのでした。
おおきなみずたまりをつくって、そのなかへ、こおりのかけらをげいれておきます。くまは、あつさにこらえられないので、幾度いくどとなく、そのみずなかひたります。そして、バシャバシャとみずをはねかえして、つめたい氷水こおりみずびたときだけ、わずかに、自分じぶんまれたきた故郷こきょうにいた時分じぶんのことをおもしたり、また、ちょっと、その当時とうじ気持きもちになったのであります。
あちらには、どんよりとして、いつもねむっているようなうみえました。そのうみは、おしで、盲目めくらなのだった。なぜなら、ものすごいさけびをあげているなみは、みんなくちわれてしまって、さかなのうろこのように、うみはすっかりこおっていたからであります。そして、氷山ひょうざんが、気味悪きみわるひかって、魔物まものきばのようにするどく、ところどころに、灰色はいいろそらをかもうとしていたからです。
脂肪しぼうのたくさんな、むくむくとあついしろくまはそこを平気へいきあるいていました。また、こおりける時分じぶんになれば、けわしいやまほうへのこのことかえってゆきました。ひろさびしい天地てんちあいだ自由じゆうにふるまうことができたのでした。
それが、いまどうでしょう。あつい、あつい、らないくにれてこられて、せまてつのおりのなかへいれられてしまったのです。はじめのうちは、はらだたしいやら、残念ざんねんやらで、じっとしていることができませんでした。かんしゃくまぎれにてつぼうげて、そとあばしてやろうと、何度なんどとなく、そのおりの鉄棒てつぼうびついたかしれません。
ちからつよいくまは、いままで、こんなに、からだなかにあったちからをすっかりしたことはなかったのです。なぜなら、その必要ひつようがなかったのでした。いま、いくらちからしても、すべてが無効むこうであることをったときに、くまは、はじめて人間にんげんが、自分じぶんより智慧ちえのある動物どうぶつだということをもったのでした。
「これは、もう、ちからずくでいってはだめだ。」と、くまはかんがえました。
かれは、しばらく、人間にんげんがなにをしようと、するままにだまって、ていようとおもいました。くまは、人間にんげんは、けっして、これ以上いじょうなんにもしないということをったのであります。
毎日まいにちしろぬのあたまにかぶった、あおいろふくおとこが、生肉なまにくれをってきてくれました。くまは、それをべながら、「なんというまずいにくだろう。」と、かんがえたのです。ぴちぴちはねているもの自分じぶんでしっかりさえつけて、あたまがらガリガリとかじるのにくらべては、ごたえがなかった。かれは、もう一氷山ひょうざんうえで、げてゆこうとする動物どうぶついかけていって、それをつかまえて、べてみたいとおもいました。
ものは、まあ、これでもしかたがないが、あついのには、こまってしまいました。するとしろきれをかぶったおとこが、おおきなこおりかたまりみずなかんでゆきました。くまは、ザブリとおどんでひたりました。ひたったかとおもうと、またおどがりました。ちょっと、その瞬間しゅんかんだけいい気持きもちがしたのでした。
人間にんげんは、なんていうけちなやつだ。あのうみはすっかりこおっているじゃないか? また氷山ひょうざんこおりをいくらでもってくればいいじゃないか。それだのに、これんばかりしか、こおりをここへはってこない。こんなけちんぼうで、そのうえ、ちからよわいくせに、よくあんなにつよぼうつくったものだ。いや、あのときはおれがどうかしていたのだろう。このちからで、あんなほそいものがへしれないはずはないのだ……。」
しろいくまは、ふいに、そんなことがあたまかぶと、どっと暴風あらしのように、てつ格子こうしびついてやぶろうとしました。しかし、やっぱりだめでした。
けれど、このすばらしいいきおいで、見物人けんぶつにんがみんなびっくりして、こえをたてました。くまはそれをせめても痛快つうかいがったのであります。
そんなようなことも、このくまが、ここにきたはじめのうちのことでした。しまいには、このおりのなかにも、人間にんげんにもれてしまいました。人間にんげんおもったよりはやさしかったからです。
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