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すずめ(2)

时间: 2022-11-17    进入日语论坛
核心提示:「そうさ、これほど、おとりを馴(な)らすのは、容易(ようい)のことじゃないのだ。まだ暗(くら)くなるまでに、幾(いく)十羽(ぱ)ば
(单词翻译:双击或拖选)

「そうさ、これほど、おとりを()らすのは、容易(ようい)のことじゃないのだ。まだ(くら)くなるまでに、(いく)()ばかり()れるかな。」と、(おとこ)は、(おも)いました。
 見物人(けんぶつにん)(なか)に、学校帰(がっこうがえ)りの少年(しょうねん)二人(ふたり)いました。
「あのすすきの(なか)のすずめが、()かなければいいんだね。」
(たす)けてくれと()いているんだろう。」
「そうかしらん。()いているので(えさ)があると(おも)って()りるんじゃない。」
 二人(ふたり)少年(しょうねん)が、そんなことを(はな)していました。すると、先刻(さっき)(あみ)(なか)から()()したすずめは、そのまま(とお)くへいったかと(おも)うと、またもどってきて、()のあぜに()っているならの()(えだ)()まりました。そして、しきりに、チュン、チュン、と()いていました。
 この時分(じぶん)になると、(ひがし)(ほう)から、西(にし)(ほう)(もり)()がけて、(かえ)っていくすずめの()れが(あと)から、(あと)からときました。
「ほら、またきたよ。きっと(あみ)にかかるから。」と、見物人(けんぶつにん)が、いっていますと、すずめの()れは()たして、すすきのやぶの(あたま)にくると、ぐるぐるとまわりはじめました。
 (えだ)()まって、()いている二()のすずめは、
「あぶない! あぶない!」と、いうように()きつづけていました。
「おいしい(えさ)があると(おも)っているんだね。」
「そうかしらん。」
 二人(ふたり)が、こんなことをいっていると、()っていたすずめたちは、(いきお)いよくすすきの(なか)()りていきました。それよりも、(おどろ)いたことは、(えだ)()まっていた、先刻(さっき)やっと(あみ)(なか)から()()した二()のすずめが、これも(さき)(あらそ)って、ふたたびすすきの(なか)()んでいったのを()たことです。
「あっ、みんな(あみ)にかかってしまった。」
 これを()ていた二人(ふたり)小学生(しょうがくせい)は、なんだか息詰(いきづ)まるような()がして、()をみはりました。(おとこ)は、大急(おおいそ)ぎで獲物(えもの)(かた)(ぱし)から(ころ)して、(ふくろ)(なか)()れていました。
「ばか!」と、このとき、(おお)きな(こえ)で、どなったものがあります。それは、(みち)(うえ)()ていた小僧(こぞう)さんでした。
「いいかげんに殺生(せっしょう)やめろ!」
 こういって、憤慨(ふんがい)した、職人(しょくにん)ふうの(おとこ)もいました。すずめをかわいそうに(おも)ったのは、二人(ふたり)少年(しょうねん)だけではありません。ここに()って()ているものが、みんな(こころ)にそう(おも)ったのです。
「やはり仲間(なかま)(つか)まって、(くる)しんでいるのを(たす)けようとして()りるのだな。」と、配達夫(はいたつふ)がいいました。
「まったくそうらしいですね。」
 こんな(はなし)を、()ているものがしていました。これを()いた二人(ふたり)少年(しょうねん)は、
「それごらん、(えさ)()べたいと(おも)って、()りるんでないよ。」
仲間(なかま)(たす)けようと(おも)って()りるんだね。」
 こういうことを、二人(ふたり)()ると、だまされて(あみ)にかかるすずめたちが、ほんとうにかわいそうになりました。
「こんな、(つみ)になるものを()ていられん。」と、小僧(こぞう)さんが、(きゅう)自転車(じてんしゃ)()()ってチリン、チリンと(はし)()しました。
「さあ、時間(じかん)がおくれてしまって、たいへんだ。」と、配達夫(はいたつふ)も、また自転車(じてんしゃ)()ばしていきました。
 (あたら)しい見物人(けんぶつにん)が、また(あし)()めていました。はじめのうちは、すずめのかかるのをおもしろがって()ているが、しまいには、(あと)から、(あと)から()んでくるすずめが、だまされて、(とも)だちを(たす)けようとして、すすきの(なか)()りて、(あみ)にかかるのがかわいそうになりました。
「はやく、()()れてしまえ!」と、腹立(はらだ)ちまぎれに、いったものもあります。すずめを()っている(おとこ)は、これで生活(せいかつ)をするのか、根気(こんき)よく、いつまでも仕事(しごと)をつづけていました。見物人(けんぶつにん)から、なんとののしられても、さも(きこ)こえぬようなふうをして、すすきの(なか)(かく)れて、おとりのすずめを()かすのに、苦心(くしん)していました。(いと)()くと、すずめは、ほんとうに(くる)しそうに、()いていました。
 このとき、二人(ふたり)少年(しょうねん)も、そこを()って(かえ)りかけました。
「お(とも)だちが()んでいると、()らぬ(かお)をして、(さき)()んでいけないのだね。」と、一人(ひとり)先刻(さっき)、一()()()したすずめが、ふたたび(とも)だちを(すく)おうとして、()()んで(あみ)にかかった光景(こうけい)(おも)()して、いいました。
「すずめって、感心(かんしん)(とり)だね。」と、一人(ひとり)感心(かんしん)しました。
(ぼく)たちだって、()いているお(とも)だちを(のこ)しておいていけないだろう。」
「いけないな。」
(かみ)さまから、すずめも仲間(なかま)は、(たす)()っていくようにと(おし)えられたのだね。」
 二人(ふたり)(こころ)(かな)しかったのです。西(にし)(そら)は、灰色(はいいろ)にだんだん()れかかりました。すずめのそうした性質(せいしつ)()って、()としにかける(おとこ)が、(にく)(おも)われたのでした。それにもまして、二人(ふたり)は、すずめたちの相互(そうご)(たす)()(こころ)(うつく)しく、(とうと)(かん)じたのでありました。

 

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