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翼の破れたからす(1)

时间: 2022-11-26    进入日语论坛
核心提示:翼の破れたからす小川未明西にしの山やまのふもとの森もりの中なかに、からすが巣すを造つくっていました。そして、毎日まいにち
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翼の破れたからす

小川未明


西にしやまのふもとのもりなかに、からすがつくっていました。そして、毎日まいにちあさはまだ、そらけきらないうすぐらいうちから、みんなのからすはれつをなして、ひがしそらしてたかんでゆきました。
その時分じぶんむらでは、きたうちもあれば、まだているうちもありました。からすは、こうしてさがしにるのでした。
にちまちうらや、たんぼや、またかわふちや、海浜かいひんなど、方々ほうぼうしょくもとめるのでした。一がなにかいいものをつけましたときは、これをみんなにらせました。そして、けっして、ひとりでそれをばみんな自分じぶんのものにしようとはしませんでした。
みんなは、どこへんでゆくのにも、いっしょでありました。また、ひとりがほかのとびやたかなどにかかって、いじめられるようなときがあれば、そのひとりのともだちを見捨みすてるようなことは、しませんでした。あくまで、そのともだちをたすけました。そして、いっしょになってたたかうか、また、げるかしたのであります。
晩方ばんがたになると、からすたちは、また、やまのふもとをさして、れつつくってかえるのでした。
「カア、カア。」といて、むらうえそらたかんでぎたのであります。はるなつあきふゆ毎日まいにち毎日まいにち、それにわりがなかったのでありました。
太郎たろうは、あるうちまえって、あたまうえを、カア、カア、といてゆく、からすのれをじっと見上みあげていたのでした。
くろく、さおのように、一れつになって、からすのれは、西にしそらをさしてんでゆきました。いちばんさきのからすが、つかれると、つぎのからすがさきになりました。そのからすが、すこしおくれると、あとのからすがいちばんさきになるというふうに、なんでも、元気げんきのいい敏捷びんしょうなからすが、いちばん先頭せんとうになって、みんなをひきいて、ゆくようにえたのです。
からすは、おたがいに、元気げんきをつけあって、そして、みんなが、れつから、はずれないようにしてゆきました。また、先頭せんとうのからすは、にあった野原のはらや、かわや、海浜かいひんや、むらや、まちなどにも注意ちゅういくばらなければなりません。いつ、どんなものが、自分じぶんたちをねらうかわからないからです。
太郎たろうは、からすのれつがただしいのを感心かんしんしました。そして、かれは、いくついるだろうかとさきになっているのから、一つ、一つ、かぞえてみていたのでした。
太郎たろうは、このからすのれのなかに、ただ一片方かたほうつばさいたんでいる、あわれなからすを発見はっけんしました。そのからすは、てきとけんかをしたものか、また、鉄砲てっぽうたれたものか、また、もちぼうにでもかかったものか、みぎつばさやぶれていました。
「あんなに、いたんだつばさで、なんともないものだろうか。」と、太郎たろうは、気遣きづかわしげにかんじながら、そのからすを、とくに注意ちゅういして、見上みあげていました。
やはり、そのからすは、つばさがいたんでいるだけにつかれやすかったのであります。ややもすると、そのからすはおくれがちになりました。それをともだちのからすは、いたわるようにして、まえになり、あとになりして、そのあわれなからすをまもってゆくのでした。
つばさのいたんだからすは、ちょうどれつなかほどにくわわっていました。そして、ひとり、みんなからおくれもせずに、あちらへんでいったのであります。
太郎たろうは、そのあわれなからすのことをわすれることができませんでした。よるとこなかへはいってからも、
無事ぶじに、みんなといっしょにもりなかかえったろうか?」とおもいました。
また学校がっこうへいっても、からすのことをおもったのです。
今日きょう晩方ばんがたも、あのからすは、そらんでゆくだろうか?」と。
学校がっこうから、うちかえると、太郎たろうは、そとあそんでいました。みちうえには、まだゆきえずにのこっていました。
やがて、しずかに、れかかりました。からすのれは、七、九、五というふうに、それぞれれつつくってんでかえりました。
「カア、カア。」といて、西にしそらをさして、いったのであります。
昨日きのうのからすは、まだこないだろうか?」と、太郎たろうは、晩方ばんがたそらあおいでいました。すると、そのうちに、あちらから、たくさんのれの一れつんできました。よく、それをると、昨日きのうのからすのれつでありました。
なかほどだったつばさのいたんだからすは、今日きょうは、いちばんれつうしろについてきました。けれど、べつに、ひとりあとにとりのこされもせずに、みんなと歩調ほちょうわせてんでゆきました。
「どうして、今日きょうは、いちばんあとになったのだろう?」と、太郎たろうは、あわれなからすについて、同情どうじょうせずにはいられませんでした。
そのは、昨日きのうより、いっそう、そのからすのことがになって、とこにはいってからも、わすれられませんでした。あくる学校がっこうにいって、まどから、運動場うんどうじょういているからすをましたときに、あのあわれなからすをおもしたのであります。
かれは、「今日きょうは、どうだろうか?」と、学校がっこうからかえると、はやく晩方ばんがたになって、いつものごとく、からすのれのぎる時刻じこくになればいいとっていました。
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