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どこかで呼ぶような(1)

时间: 2022-11-28    进入日语论坛
核心提示:どこかで呼ぶような小川未明わたくしが門もんを出でると、ちょうど、ピイピイ、笛ふえをならしながら、らお屋やが、あちらのかど
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どこかで呼ぶような

小川未明


わたくしがもんると、ちょうど、ピイピイ、ふえをならしながら、らおが、あちらのかどをまがりました。
わたくしは、あのくと、なんとなく、はるさきのかんじがします。どこへあそびにいくという、あてもなかったので、あしのむくままはらっぱへきました。らぬまにとなりのペスが、ついてきました。どうしたのか、きょうは、だれのかげもえませんでした。
かぜのない、おだやかなそらは、どんよりとうるんで、あしもとのくさは、ふかふかとして、ひかりにあたたまっていました。その太陽たいようのにおいをなつかしむように、わたくしは、ごろりとからだをなげだしました。ペスも、かたわらへ、前足まえあしをのばして、うずくまりました。
しばらくすると、とおくのほうから、オートバイのはしってくるおとがしました。ペスは、はねおきて、往来おうらいのまんなかて、ほえたてました。
「ペス! ペス!」と、わたくしは、よびかえそうとしました。しかし、きかぬので、「ばかっ。」と、かけていって、わたくしは、いぬいはらいました。
オート三輪車りんしゃには、くろ眼鏡めがねをかけた、おじさんがっていました。きゅうに、速力そくりょくをゆるめると、
「どれ、すこし、やすんでいこうか。」と、おじさんは、はらっぱのなかへ、くるまをひきれました。
「ここは、あたたかで、いいところですね。」と、さもしたしげに、わたくしへはなしかけるので、わたくしも、いっしょに、もとの場所ばしょへきて、ふたたびくさうえにねころびました。ペスは、二人ふたりのようすをると、きまりわるくおもったか、いえへ、さっさとにげていきました。
「きみのうちのいぬですか。」と、おじさんが、きました。
「いえ、となりのいぬです。」と、わたくしは、こたえました。
猟犬りょうけんらしいが、いいいぬですね。」
「そう、よく、よそのにわとりや、うさぎをとってこまるんですよ。」
「は、は、は。」と、おじさんは、わらいました。そして、ライターで、たばこのをつけました。
あおぐと、太陽たいようは、黄色きいろにもえていました。そのあたたかなひかりを、おしげもなく、くさ人間にんげんうえにあびせています。このとき、またしても、ドーンというおとがしたのです。
「おや、花火はなびかな。」と、眼鏡めがねをかけたおじさんは、みみをすましました。すると、ドーンドーンとつづいて、しずかな空気くうきをやぶるおとがしたのでした。それは、たしかに、あちらのもりの、もっとさきからきこえたのでした。
「さっきから、するんですよ。」と、わたくしは、いいました。
「あっちのまちですね。いまごろおまつりかしらん。」と、おじさんは、かんがえていました。
わたくしは、神社じんじゃのおまつりにしては、すこしはやすぎるようにかんじたけれど、これからに、その季節きせつにちかづくのをると、なんとなくこころがあかるくなりました。
「なにがあるか、いってみませんか。そんなにとおくはないようだ。」と、おじさんは、すぐにもでかけるようすをみせました。
「また、ここまで、つれてきてくれる?」と、わたくしは、かえりをかんがえたのです。
「どうせ、このみちとおるのですもの、つれてきますとも。それに、きょうの仕事しごとは、もうおわったのだから。」と、おじさんは、ちょっとした探検たんけんにも、ひじょうな興味きょうみをもっているようでした。
わたくしも、同感どうかんでした。それに、おじさんを観察かんさつして、信用しんようしていいとおもったから、いわれるままに、三輪車りんしゃのあきばこへりました。石炭せきたんのかけらが、はこのすみに、ちらばっているのをると、たぶん、えきあたりから、工場こうじょう石炭せきたんをはこんだのでしょう。そうおもうと、ふと、すぎったのことが、おもいだされました。
それは、一昨年さくねんなつのことでした。わたくしはちいさいおとうとをつれて、つりにいったそのかえりです。おとうとは、あしがつかれたといって、とうとうきだしてしまいました。すると、そこをとおりかけたオート三輪車りんしゃがあって、わざわざくるまをとめ、石炭せきたんをはこんだあきばこのなかへ、二人ふたりれて、とちゅうまで、おくってくれました。きっと、あのときから、このくるまは、このみちをいったりきたりしているとおもったので、
「いつか、ぼく、これとおなじような三輪車りんしゃに、おとうと二人ふたりが、せてもらったのですよ。おじさんは、あのわかいひとらない?」と、わたくしはきゅうになつかしくなって、はしりながら、くるまうえで、きました。
「どんなようすをしていたい?」
おじさんは、運転うんてんしながらいいました。
「おじさんより、もっとわかいひとなんだよ。」
「いつごろのこと?」
「おととしの夏休なつやすみだった。」と、わたくしは、こたえました。

「ああ、それでは、らない。たぶん、ひとがかわっているだろう。」
 
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