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鳥鳴く朝のちい子ちゃん(1)

时间: 2022-11-28    进入日语论坛
核心提示:鳥鳴く朝のちい子ちゃん小川未明ちい子こちゃんは、床とこの中なかで目めをさましました。うぐいすの鳴なき声ごえが、きこえてき
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鳥鳴く朝のちい子ちゃん

小川未明


ちいちゃんは、とこなかをさましました。うぐいすのごえが、きこえてきました。
「おや、ラジオかしら。」
このごろ、いつもおやすあさには、小鳥ことりごえ放送ほうそうされたからです。しかし、そのこえは、おとなりにわほうからきこえてくるようながしました。あちらには、梅林うめばやしがあるし、木立こだちもたくさんしげっていますから、どこからかうぐいすがんできていているのでないかとも、おもわれました。
「おかあさん、あれラジオのうぐいすなの。」と、ちいちゃんは、きました。
とっくにきて、いえなかはたらいていらした、おかあさんは、
「ほんとうのうぐいすですよ。はないているから、んできたのです。さあ、あんたもはやきて、おかおあらいなさい。いいお天気てんきですよ。」と、おっしゃいました。
「ああ、そうだ。日曜学校にちようがっこうへいって、先生せんせいからおはなしいて、それから、とみさんや、まささんといっしょにあそぶ、お約束やくそくがしてあったのだ。」と、おもすと、ちいちゃんは、すぐにとこからました。
そらは、緑色みどりいろにすみわたっていました。朝日あさひがさして、木々きぎはいきいきとかがやいて、いい気持きもちであります。
ちいちゃんは、ごはんをいただいてから、おつくえまえでまごまごしていました。おかあさんにかみってもらって、時計とけいると、じき八になります。
「あら、おくれたらたいへん。」といって、お玄関げんかんで、げたばこからくつをしてはいて、おうちました。
さっきのうぐいすでしょう、こんどは、どこかとおくのほういているこえが、きこえてきました。垣根かきねのそばをあるいていくと、あかいつばきのはないたいえがあります。ごもんのところに、ぼけのはなのいっぱいにいているいえもありました。またおにわしろはないた、たかいこぶしののあるいえもありました。そして、ちいちゃんが、ひろとおりへようとしたとき、一けんのごもんまえに、一人ひとりのおばさんが、ふろしきづつみをかかえて、紙片かみきれって、門札もんさつをながめながら、ぼんやりっているのをました。ちいちゃんがちかづくと、
「おじょうちゃん、川上かわかみさんといううちをごぞんじありませんか。」と、おばさんは、きました。
川上かわかみさん? わたしらないわ。」
番地ばんちいてもらってきたのですけれど、この番地ばんちつからないのですよ。」
おばさんは、家政婦かせいふさんか、女中じょちゅうさんでありました。やとわれるおうちがわからなくて、こまっているのです。ちいちゃんは、しろあたらしいたびをはいているおばさんが、なんとなくどくになりました。
「おばさん、っていらっしゃい。」
ちいちゃんは、あちらのかどにあった、たばこんでいきました。そして、川上かわかみといういえをたずねたのです。
「ああ、川上かわかみさんですか。このごろ、してきたかたでしょう。こちらの路地ろじはいって、つきたりのいえです。」と、たばこおしえてくれました。
ちいちゃんは、あちらにっていた、おばさんのところへんでいって、らせてやりました。
「おじょうちゃん、どうもありがとうございました。」と、おばさんは、よろこんで、いくたびもあたまげました。
ちいちゃんも、うれしかったのです。往来おうらいると、ひとがたくさんとおっていました。草花屋くさばなやが、手車てぐるまうえへ、いろいろの草花くさばなはちをのせて、「草花くさばなや、草花くさばな。」といいながら、いていきました。
どこをても、もう、すっかりはる景色けしきです。教会堂きょうかいどうのとがった屋根やねえていました。
かみさまは のき
こすずめまで
おやさしく いつも あいしたもう
ちいちゃんは、うたいながら、教会堂きょうかいどうまではしっていくと、はや、お説教せっきょうが、はじまっていました。みんなが、しずかにしていますので、ちいちゃんは、お説教せっきょうわるまで、そとっていようとおもいました。
ドアのそとには、子供こどもたちのげたが、ちらばっています。ちいちゃんは、それを一つ、一つ、きちんとならべました。また、げたばこのしたしてあったスリッパを、はこなかおさめていました。
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