二
彼はただこの泉を見出しさえすれば、また自分の行くべき道が其処から見出されると考えたのである。必ずこの泉の辺りに来た人は自分が
この時、月は雲に
身に
彼は、倒れたまま空を仰ぐと、月は、黒雲を出て以前と同じように沙原を照らしている。其処も同じく沙地であったが、丘が見えない。
さながら、その地平線に咲き出た花のように、一輪の花が眼の前に頭を
彼は、十歩余りで、その花に近づくことが出来た。それは病めるようなこの
この時、水を
誰か造り花をこの沙原に来て挿したのではあるまいか。
急に、南の風が吹いて来た。明るく一直線に雲断れのした空は物凄かった。南の風は、人間