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びんの中の世界(2)

时间: 2022-12-07    进入日语论坛
核心提示:それで、正坊まさぼうは、まさしくこの人ひとだと思おもいましたから、その男おとこのすすめるままに、いってみようと、即座そく
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それで、正坊まさぼうは、まさしくこのひとだとおもいましたから、そのおとこのすすめるままに、いってみようと、即座そくざ決心けっしんしました。
おとこは、自分じぶんわき正坊まさぼうせて、うまにむちをてました。そのうまあしはやかったのです。もりや、かわや、おかぎてゆくと、いろいろのうつくしいはないた野原のはらました。はるか、あちらをると、まち屋根やね地平線ちへいせんがってえたのです。
「あ、いつかびんのくちから、のぞいて景色けしきだ!」と、正坊まさぼうは、おもいました。
「おじさん、どこへゆくの……。」と、正坊まさぼうはたずねた。
「あのまちへゆくのだ。」と、おとこは、こたえました。
やがてまちへはいろうとすると、建物たてものあいだから、青黒あおぐろうみえました。
まちへはいって、しばらくはしると、うまは、ひさしのふかた、むかしふうのうちまえへきてまりました。おとこうまからりて、うちかってこえをかけました。するとひく老人ろうじんが、こしげててきました。
「おとうさん、ようやく、あなたが、もう一たいとおっしゃられたびんをってきました。これでございましょう……。」
老人ろうじんは、けたくちをもぐもぐさしていましたが、ほそい、しわだらけのして、びんをりました。そして、びんのまわりをなでまわしていましたが、そのくちをあてて正坊まさぼうがするように、太陽たいようかってあおいだのです。
「あ、これ、これ、これにちがいない!」と、老人ろうじんはうれしそうにわめきました。
わたしは、やっと、このびんにめぐりあった。もはや、一しょうのうちに、めぐりあわないかとおもっていた。しかし、おまえのおじいさんは、になされたとみえる……。」
老人ろうじんは、びんをって、くらいえうちへはいりました。しばらくたつと老人ろうじんは、びんのなかへ、ほんとうにわずかばかりのあぶらをいれて二人ふたりまえへあらわれました。
永年ながねんしまっておいたあぶらは、もうこればかしになってしまった。もうすこしなが月日つきひがたったら、あぶらは、一てきもなくなってしまっただろう……。
わたしが、うみうえ生活せいかつをしていた時分じぶん兄弟きょうだい約束やくそくをした仲間なかまがあった。二人ふたりは、たがいにたすけつ、たすけられつした。そして、わかれる時分じぶんに、二人ふたりは、もう一たずねってあいたいというまじないから、インドの魔法使まほうつかいからもらったびんと中身なかみあぶらとを別々べつべつってかえった。こうすれば、いつか、びんとあぶらは、かならずめぐりあうといった魔法使まほうつかいの言葉ことばしんじたのだ。子供こども! おまえのおじいさんは、くろいたっていなされたろう……。このあぶらをともして、そのいたるがよい……。」といって、あぶらのはいったびんを正坊まさぼうわたしたのでした。
正坊まさぼうは、このまちと、このおじいさんと、このうちをよくおぼえておこうと熱心ねっしんにながめていました。
おとこは、ふたたび、正坊まさぼううませてくれました。そして自分じぶんり、うまにむちをてると、うまはきた時分じぶんみちはししました。は、いつしかうみしずんで、野原のはらいているあかはなくろずんでえたのであります。そして、つき大空おおぞらがり、そのしたながれているかわみずが、一筋ひとすじぎんぼういたように、しろひかってえたのでした。
二人ふたりせたうまは、むら往来おうらいまでくるとまりました。そこからは、もう、正坊まさぼうのおうちがじきだったのです。
「さあ、もうここからなら、ひとりでかえれるだろう。」といって、おとこは、正坊まさぼううまからろしてくれました。
「おじさん、あのまちは、なんというの?」と、正坊まさぼうは、かえっていました。
「…………」と、おとこは、いいのこして、うまにむちをあててりました。
正坊まさぼうは、おとこのいった言葉ことばが、よく、はっきりとみみにはいらなかった。そのうちに、ひづめのおととおざかり、かげは、つきかりに、だんだんちいさくかすんだのです。
おばあさんは、もんからたり、はいったりして、正坊まさぼうさがしていられた。そこへ、正坊まさぼうかえって、そののできごとのはなしをすると、おばあさんは、あたまって、
「ばか、なにをいう。きっと、おまえは、きつねにでもばかされたのだろう……。」といわれました。
正坊まさぼうは、まちきもらしたのが残念ざんねんでした。おそらくそのことは、永久えいきゅうに、かれにとって残念ざんねんであったにちがいない。なぜなら子供こどもあたまで、いつまでも、まちをおぼえていることは不可能ふかのうであったから……。
しかし、それがゆめでないことは、びんのなかあぶらがはいっていたことでした。すぐに、土器かわらけにうつして、をつけて、正坊まさぼうは、おばあさんと二人ふたりで、くろいたました――。
異様いような、帆船はんせん姿すがたが、ありありといたおもてえたかとおもうと、また、その姿すがたは、けむりのごとく、しだいにうすれてえてしまった。
 
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