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山へ帰ったやまがら

时间: 2023-01-08    进入日语论坛
核心提示:山へ帰ったやまがら小川未明英ひでちゃんの飼かっているやまがらは、それは、よく馴なれて、かごから出でると指先ゆびさきにとま
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山へ帰ったやまがら

小川未明


ひでちゃんのっているやまがらは、それは、よくれて、かごからると指先ゆびさきにとまったり、あたまうえにとまったり、また、みみにとまったりするので、みんなからかわいがられていました。
はじめのうちは、そとすと、もうかごへはもどってこないものとおもって、障子しょうじめて、へやのなかあそばしたものです。しかし、ながいうちにいつしかここが、自分じぶんのすみかとおもってしまったので、すこしばかりあそぶと、またかごのなかはいってしまいました。そして、ここがいちばん安心あんしんだというふうに、あたまをかしげて、いままでさわいでつかれたからだを、じっとしてやすめるのでありました。
「こんないいとりはめったにないよ。」と、ひでちゃんは、平常ふだんから自慢じまんしていました。
「どのとりだってれればおなじさ。しかし子飼こがいいでないと、なかなかこんなにならないそうだね。」と、にいさんがいいました。
正月しょうがつのあるのことでした。そらにはたこのうなりおとがしていました。ひでちゃんは、やまがらにをやってから、わざとかごのくちめずにおきましたけれど、やまがらは、そとようとしません。そのときにいさんは口笛くちぶえいて、ゆびしてせました。するとやまがらは、ついとんできてゆびまりました。
障子しょうじをしめておかなくていい?」と、ひでちゃんが、ききました。
「だいじょうぶだろう。そとが、こわいんだから。」と、にいさんがこたえました。
そらているんだね。」
「さあ、もうかごへおはいり。」と、にいさんは、やまがらにかって、ゆびうごかしてせました。
ちょうど、裏庭うらにわさくらにすずめがまっていていました。やまがらは、そのこえにでもさそわれたのか、ふいにまどから、いえそとしてしまいました。
「あっ、げた……。」と、ひでちゃんは、あわてました。
「いま、もどるよ。」と、にいさんは、しきりに口笛くちぶえらしながら、やまがらの行方ゆくえ見守みまもると、どうして、そんなにはねがよくきくのかとおもわれるほど、一んで、やまがらは、となり屋根やねしてしまいました。
ひでちゃん、はやくいってごらんよ。あっちのはやしほうへいったようだ。」
にいさんは、自分じぶんもかごをって、あとからいかけていきました。
あるおおきな屋敷やしきのまわりは、雑木ぞうきはやしになっていました。ここには、すずめがたくさんえだまって、ふくらんでいます。そのお仲間入なかまいりでもしたように、やまがらがえだからえだをおもしろそうにつたっていました。
「あっ、あそこにいた。」
ひでちゃんはこまかなえだをとおしてうえあおぎました。
ひでちゃん、いた?」
にいさんは、かごをしたいて、口笛くちぶえきました。けれど、やまがらは、きこえないふうをしています。ひでちゃんは、はるかうえのやまがらのほうかって、できるだけたかげて、ちいさなゆびしてせました。しかし、やまがらは、もうそんなものには見向みむきもしませんでした。ただ、いままでらなかったおおきな自然しぜんなかで、なにをてもめずらしいので、いそがしそうにうごいて、すこしもじっとしていませんでした。
にいさん、もうかえろうよ。」と、ひでちゃんが、かなしそうにいいました。
ばんになったら、かえるかもしれない。」と、にいさんは、まだやまがらのかえるのをしんじているようでした。
「もうかえってこないよ。おうちがわからないもの。」
ひでちゃんは、いくつもたこのがっている、はらほうをながめて、自分じぶんたちは、二とあのやまがらをることがないだろうとおもいました。
いえかえって、かごのくちけたまま、かごを軒下のきしたはしらにかけました。先刻さっきまで、そのなかには、ほおのしろい、胸毛むなげのくりいろをした、かわいいやまがらがいたのにとかんがえると、あんなにれていながらげたことが、ゆめとしかおもえません。
「すずめがいていたので、お仲間入なかまいりがしたくなったんだね。」と、ひでちゃんが、いいました。
「きっと、そうだろう、わすれていた山奥やまおくはやしや、父鳥ちちどりや、母鳥ははどりのことをおもしたのだよ。」と、にいさんが、いいました。にいさんも、いつしか、やまがらはかえってこないとおもったのでした。
そのばんには、さむ木枯こがらしがきすさびました。翌日よくじつきてみると、屋根やねも、はたけも、のこずえも、しもしろでありました。あらしのなかで、はじめのよるごしたやまがらは、どうしたであろうと、兄弟きょうだいは、心配しんぱいしました。
「すずめたちとおなまって、ちいさくなって、たかしらん。」
「すずめは、やさしいとりだから、意地悪いじわるなんかしないよ。」
「そうだ、ぼく鳥屋とりやのおじさんに、きいてみよう。」と、ひでちゃんが、いいました。
いつも、学校がっこうかえりに、鳥屋とりやまえって、いろいろのとりるので、よくかおっているおじさんに、きいてみようとおもったのでした。
あくる、やまがらのことを心配しんぱいしながら、学校がっこうかえりに、そのみせまえまでくると、ちょうどおじさんは、日当ひあたりのぐちで、にわとり小屋こやをそうじしていました。そして、ひでちゃんが、やまがらのげたはなしをして、どうしたろうときくと、おじさんは、ほうきをうごかしながら、
「やまがらも、昨夜ゆうべは、ぼっちゃんたちのことをおもしたでしょう。けれど、今日きょうは、もうどこかとおやまほうんでいって、かごをおもってもぶるいしていますから、二人間にんげんにはつかまりませんよ。」といいました。
そのから、ひでちゃんは、はらっぱへいって、ほがらかにたこをげてあそびました。
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