吉里吉里(きりきり)(岩手県大 町)
浜を歩くと砂が「キリキリ」と音を出すことから命名
岩手県上かみ閉へ伊い郡大おお つち町に、「吉里吉里」という場所がある。吉里のダブり書きではない。れっきとした地名なのである。
ここは船越湾南岸の漁村で、井上ひさし氏の小説『吉里吉里人じん』の舞台としても有名な土地柄である。
ところで、この地名の由来がやはり気になるが、白い砂浜がつづく海岸線があり、その昔、その砂浜を歩くと「キリキリッ、キリキリッ」と、美しい音をたてたことにちなんでいるらしい。これはアイヌ語である可能性が高く、「歩くとキリキリと音を出す浜」とか「白い砂浜」という意味がある。
昔は美しく鳴ったのでこんな名前が付いたのだろうが、美しい音を出すためには水が清く、砂の角がよく磨かれていて、石英の粒が揃っていることが条件だ。
しかし、最近では、汚れがひどくなったところもあるためにその条件が満たされず、残念ながらその音を聞くことはできないようだ。