八女(やめ) (福岡県八女市)
山中に『日本書紀』の女神・八女津媛が住んでいた地
福岡県南部、福岡市から南へ約五〇キロに位置する八女市は、古代から栄え、八女丘陵には岩いわ戸と山やま古墳をはじめとする多くの古墳がある。江戸期には八女地方の物産集積地として繁栄し、政治・経済・文化の中心地となった。市の特産品には、手すき和紙・仏壇・提ちよう灯ちんなどの伝統工芸品や、茶・電照菊などの農産物がある。
この市の歴史をたどると、一八七一(明治四)年の廃藩置県により、久く留る米め県を経て三み潴ずま県となり、さらに一八七六(明治九)年、福岡県に合併された。そして、一八九六(明治二十九)年には福島町を中心に八女郡が形成され、昭和に入って福島町は拡大発展するが、一九五四(昭和二十九)年に周辺の三か村と合併して現在の八女市が誕生した。
八女市の「八女」という地名は、日本最古の歴史書『日本書紀』にある「この地方に女神あり、その名を八や女め津つ媛ひめといい、つねに山中にある」という一節に由来があるといわれている。
現在でも、八女津媛を祀まつった神社である「八女津媛神社」が矢部村にあり、境内はじつに神秘的な雰囲気に満ち満ちている。