子持山（こもちやま）

子持山（こもちやま） （群馬県）

　　 子どもを抱きかかえているかのような、その山姿
 

「子持山」は那須火山帯に属する成層火山で、裾野は渋川市、吾あが妻つま郡高山村、沼田市にまたがっている。標高は一二九六メートルほどだが、基底部は東西約七・五キロ、南北約九キロの山である。

　この山の名前の由来はその山姿にある。中央の峰を周囲の尾根が取り囲んでいる姿が、まるで子どもを抱いているかのように見えるところから、そう名付けられたのである。『万葉集』には、「児こ毛も知ち山若わか鶏かへ冠る木でのもみつまでねもと吾わは思もふ汝なは何あどか思ふ」（第一四巻東あづま歌うた未勘国の歌）と歌われている。

　子持山が、女性的な山姿にちなんでそう名付けられたため、すぐ隣にある小お野の子こ山は、逆に山姿が男性的であることから、そのように名付けられたのだという言い伝えもある。

　山中にある子持神社は、その名のとおり、古くから子育てや安産の守護神として信仰されてきた。ヤマトタケルノミコトの開基とも、九四四（天てん慶ぎよう七）年の草創などとも伝えられているが、江戸時代までは、大乗院という修験の霊場でもあった。

　現在の神明権ごん現げんづくりの社殿は、一九五五（昭和三十）年に再建されたが、毎年五月一日の例祭日には太だい々だい神楽かぐらが奉納されるとともに、子持山の山開きにもなっている。