アマテラスの誕生
黄泉国から帰還したイザナキが生み落とした貴い三柱の神々
黄泉国から戻ったイザナキは、「汚らわしい国に行ったものだ。身を清めよう」と「筑
紫の日ひ向むかの橘の小お門どの阿あ波は岐ぎ原はら」へ赴いて、禊みそぎの祓はらえを
行なう。禊とは、水浴して体についた罪や穢れを清める儀礼のことで、のちには滝行など
に発展していった。
さて、イザナキが禊を行なうと、またもたくさんの神々が生じている。脱ぎ捨てた衣服
や装飾品から一二神が、垢や水から一一もの神が次々と生まれた。
イザナキが水の中に入ると、ソコツワタツミ、ナカツワタツミ、ウハツワタツミのワタ
ツミ三神、ソコツツノヲ、ナカツツノヲ、ウハツツノヲのツツノヲ三神などの神が生まれ
たという。ツツノヲ三神はのちに住すみ吉よし大たい社しやに祀られる神々である。
そして最後に両目と鼻を洗うと、左目からアマテラス、右目からツクヨミ、鼻からスサ
ノヲが生まれる。イザナキは貴い三柱の子が生まれたと喜び、首飾りをアマテラスに授け
て「お前は高天原を治めなさい」と命じた。続いてツクヨミには夜の国を、スサノヲには
海うな原ばらの国をそれぞれ治めるよう命じたのだった。