【第七章の人々】
目マ弱ヨワノ王オウ
安康天皇を殺害し、父の仇を討った皇子
父はオホサザキ(仁徳天皇)の子オホクサカ。アナホノミコ(安康天皇)は家臣の讒言
に乗せられ、オホクサカを殺害して、マヨワの母ナガタノオホイラツメを自分の后とし
た。マヨワは連れ子として宮中に住んだが、アナホノミコと母の会話を偶然耳にし、アナ
ホが父の仇であることを知る。このとき、マヨワは成人していたとも、まだ七歳で御殿の
下で遊んでいて立ち聞きしたとも伝えられている。
マヨワは、寝込んだアナホを殺害してツブラノオホミの家にかくまわれるが、オホハツ
セ(のちの雄略天皇)の軍によって包囲され、死亡する。火を放たれたとも、マヨワを
守っての奮戦虚しく、最期を悟ったツブラノオホミの手によって刺し殺されたともいう。
このような結末は、アナホノミコとナガタノオホイラツメは実は同母の姉弟であり、結
婚はタブーであったのを破ったがゆえの教訓だという説がある。また、「目弱」とは螺ほ
ら貝がいの意味であるが、目弱王の別名は眉輪王。この名は、目の縁に隈取りをした古代
芸能人の姿を想像させるという。