ヤマタノヲロチ
出雲に降り立った荒ぶる神と八つの頭を持つ大蛇の激闘
◆英雄神へと変貌した荒ぶる神
高天原を追われたスサノヲは、地上へ降りると一転して英雄譚を残している。
出雲国の肥ひの河の鳥とり髪かみに降り立ったスサノヲが川を上ると、娘を真ん中に泣
く老夫婦と出くわした。夫は山の神オホヤマツミの子アシナヅチ、それと妻のテナヅチ、
娘のクシナダヒメだという。聞けば、毎年娘をさらう高こ志しの大蛇ヤマタノヲロチが、
夫婦の最後の娘、クシナダヒメを狙っているとか。その大蛇は、目が赤く、八つの尾と頭
を持ち、八つの峰や谷を渡る長さで、しかも腹が血でただれた恐ろしい怪物だという。ス
サノヲは素性を打ち明け、ヲロチを退治するための準備をアシナヅチに命じた。アシナヅ
チは八つの門と桟さ敷じきを設け、それぞれに強い酒の入った酒樽を置く。やがて地響き
とともに現われた大蛇は、八つの頭を酒樽に突っ込むや一気に酒を飲み干し、酔いつぶれ
た。そのすきにスサノヲがヲロチをずたずたに切り刻むと、溢れ出した血が肥の河に流れ
出し、河は真っ赤に染まったという。
ヲロチの尾からは素晴らしい太刀(『日本書紀』では天あめの叢むら雲くもの剣つる
ぎ)が発見され、スサノヲはアマテラスに献上した。
江戸時代の国学者、本居宣長は、スサノヲの英雄への変貌について、黄泉国の穢れが天
岩屋のあとに行なわれた祓いによって消え、善神への変貌を遂げたとしている。また、高
天原と出雲のスサノヲは別人格という説もある。スサノヲはもともと出雲国の土地神で、
それが「記紀」神話に取り入れられる際に、地上世界の支配者オホクニヌシの祖先とし
て、高天原と出雲を結ぶ役割を担ったともいえる。
大蛇退治後のスサノヲは、出雲国の須す賀がの地に宮を建て、クシナダヒメと穏やかに
暮らしたという。宮を建てる際、湧き出る雲を見てスサノヲが詠んだのが、「八や雲くも
立つ 出雲八や重え垣がき 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」の歌である。
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