【第一章の神々】
水ヒ蛭ル子コ
海に流された不完全な神
イザナキとイザナミの間に生まれた出来そこないの子で、骨のないクラゲのような姿を
していたため、葦あし舟ぶねに乗せられ海に流された。しかし、流れついた先の摂せつ津
つ国(兵庫県)の人々は、このヒルコを養って夷えびす三郎殿という名を与え、神として
奉った。海から来たことから、初めは西宮神社を中心に航海安全や豊漁の神として祀られ
たが、大阪湾沿岸が交易で栄えるにつれ商売繁盛の神とされた。やがて名前も戎えびすや
恵え比び寿すに変わり、恵比寿信仰は商家に福をもたらすとして全国に広がっていった。