【第二章の神々】
少スク名ナ毗ビ古コ那ナノ命ミコト
オホクニヌシとともに諸国を巡り、国造りを助けた小さき神
蛾がの皮でできた服をまとい、ガガイモの舟に乗って出雲の美み保ほの岬に流れ着いた
小さな神様が、スクナビコナノミコトである。
ミソサザイの羽を着ていて、オホクニヌシがこの神を見つけて掌てのひらで弄もてあそ
んでいたところ、跳んできてその頬に噛みついたり、親であるカムムスヒあるいはタカミ
ムスヒの指の間からこぼれ落ちたりする、いたずらっ子であるなど、その姿形のユニーク
さにふさわしい逸話が残されている神である。
ただし、体は小さくてもその働きは大きく、『出雲国風土記』では、オホクニヌシと力
を合わせて、五い百お津つ すきで国を造り固めたとされる。その小ささにもかかわらず
不思議な能力があるため、スクナビコナは種の力を持つ穀霊であると考えられている。こ
うした功績からか、国造りの神として、農業技術や労働を司るオホクニヌシと並び称され
ることが多い。
五穀豊穣や開運招福といった御利益もあるが、医業や温泉、そして酒造りの神としても
広く信仰されている。
『伊予国風土記』逸文では、スクナビコナが病に伏すと、オホクニヌシが大分の速はや見
み湯を下樋から持ってきてスクナビコナに湯ゆ浴あみをさせ、その病を治したとされてい
る。これが愛 県の道どう後ご温泉の源であるといい、このことから医業や温泉の神とさ
れるようになったと考えられる。また、スクナビコナを祀る神社は、奈良県桜井市の大神
神社ほか各地にあるが、酒造りの神ともされているのは、まるで酒造りに重要な微生物の
働きを古代の人々が察知していたかのようである。
国の基礎固めを終えたスクナビコナは、粟の茎の弾力を利用して、はるか遠くにある不
老不死の国・常世国に渡っていったと伝えられている。これも、種の持つ生命力の象徴であ
ろうか。
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