オホヤマモリの謀反
反旗を翻した長兄を葬った末子の知略とは?
◆末子は皇位を辞退し続ける
ホムダワケの崩御後、後継者が指名されていたにもかかわらず、皇位をめぐる争いが勃
発する。オホヤマモリがウヂノワキイラツコの即位に反発し、反旗を翻したのだ。兄オホ
サザキはこの謀反の報をすぐにウヂノワキイラツコに伝えた。
兄の謀反を聞いたウヂノワキイラツコは一計を案じる。軍勢を宇治川のほとりに隠し、
近くの山の上には自分の影武者を立てる一方、自分は船頭に化けて兄を待ち構えた。何も
知らないオホヤマモリは弟のいる山上に赴くため、川を渡ろうと船に乗り込んだ。彼は
「向かいの山に住む猪を狩ろうと思うのだが、獲れると思うか?」と船頭に尋ねる余裕を
見せる。これに対し船頭は「叶わないでしょう」と返答。やがて船が川の中頃まで来たと
ころで、不意に船頭は船を揺らし、オホヤマモリを川に落とした。オホヤマモリは岸に泳
ぎ着くことができず、川底に没してしまう。
こうしてオホヤマモリの反乱を鎮めたウヂノワキイラツコだったが、自らは即位せず、
兄のオホサザキに皇位を譲ろうとする。しかしオホサザキも父の遺命であると固辞する。
ここで皇位の譲り合いが行なわれた。海あ人まが鮮魚を献上しようとしたところ、弟は兄
に、兄は弟に献上してほしいと譲り合ったため、海人は宇治と難波を行き来する羽目にな
り難儀したという。「海人なれや、自分の獲物に泣く」という諺ことわざまで生まれたほ
どだったとか。
この譲り合いの結末はウヂノワキイラツコの早世で幕を閉じる。『日本書紀』ではウヂ
ノワキイラツコが、自分が生きていることによって兄が天皇とならず、天下を煩わずらわ
せるのは忍びないと自ら命を絶つという悲劇的結末が記されている。
かくして三人の皇位継承候補者のうち、ふたりがいなくなったため、オホサザキが即
位。この天皇が聖帝として名高い仁徳天皇である。
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