アナホ暗殺
事実を知った幼き皇子による復讐の達成
カルノミコの失脚に伴い、その弟アナホノミコが皇位に就いた(安康天皇)。ほどなく
天皇は弟オホハツセの妃選びに乗り出す。目をつけたのはワカクサカベという女性で、そ
の兄オホクサカに使者ネノオミを派遣する。オホクサカは喜んで妹を差し出そうと、献上
品に押おし木きの玉たま縵かづらを添えて賛意を伝える。押木の玉縵とは、百済くだらか
新羅の舶来の高級装飾品と見られている。ところが、ネノオミはこの宝に目がくらみ、そ
れを横領したうえで、「オホクサカは『愛しい妹を同族の妃に出せるか』と怒り、ご命令
をお受けになりませんでした」と偽りの報告をした。これを聞いたアナホノミコは激怒し
てオホクサカを殺害し、その妻を皇后にしてしまった。
しばらくのち、アナホノミコは昼寝をしながら皇后に、「父を殺したのが自分であると
マヨワが知ったら、殺意を抱くに違いない」とオホクサカ殺害に関する話をする。それを
偶然にも床下で聞いたのが、皇后とオホクサカの間に生まれた当のマヨワだった。父が天
皇に殺されていたことを知ったマヨワは、寝ているアナホノミコのもとに忍び込むと、そ
の首を斬って殺し、ツブラノオホミの邸に逃げ込んだ。