イチノヘノオシハ謀殺
皇位を狙う御子の陰謀か!? 罪なきイチノヘノオシハの最期
◆狩猟の場で惨劇が起こる
マヨワを滅ぼしてのち、オホハツセは従兄弟にあたるイチノヘノオシハを淡あは海みの
蚊か屋や野のへ狩りに誘った。カラブクロという人物が淡海の素晴らしさを語ったのが
きっかけだった。カラブクロは淡海を支配する佐さ々さ紀きの山の君という氏族の祖先
で、韓人とされる。現地の淡海に着くとふたりは別々に宿をとって泊まった。その翌朝、
まだ日も昇らないうちからイチノヘノオシハは馬に乗ってオホハツセの仮宮へと出向き、
オホハツセのお供の者に、「王はまだお目覚めではないのですか。夜はとっくに明けまし
た。早く猟場へおこしくださるように伝えてください」と告げた。
あまりに早い出発の催促。しかも、嬉々とした口ぶり。これを見たお供の者たちは、オ
ホハツセに対して「イチノヘノオシハは、怪しいので気をつけてください。もしものこと
を考えて、きちんと武装もすべきです」と讒ざん言げんを奏上した。オホハツセはこれを
真に受け、衣の下に鎧をまとい、弓矢を持つと馬に乗って出発した。
オホハツセは間もなくイチノヘノオシハに追いついた。そして馬を並べたかと思うと、
突然弓を取ってイチノヘノオシハを射落とした。さらに落馬したイチノヘノオシハを斬り
刻み、馬の飼い葉桶おけに入れて埋めてしまったのだった。
このあまりにも強引な殺害は、初めから計画されていた謀殺事件とする説もある。
イチノヘノオシハは、当時皇位に近い実力者で、アナホノミコが次の天皇に据えようと
していたと見る向きもある。そこで、オホハツセは、自分の地位を危うくしかねないと考
えて、かねてから討つ機会を狙っていたとも考えられるのである。『日本書紀』には、イ
チノヘノオシハ殺害後にオホハツセが同母弟ミマの後ろ盾となっている名族ミワ氏を攻撃
して滅ぼしたとある。これも、競争相手を除こうとするオホハツセの強い意思を裏づける
出来事かもしれない。
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