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過去から来た女09

时间: 2018-07-30    进入日语论坛
核心提示:9 沈《ちん》黙《もく》の村 「一《いち》応《おう》、坂東雪乃は、重要参考人として手配されています」 と、室田が言った。
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 9 沈《ちん》黙《もく》の村
 
 「——一《いち》応《おう》、坂東雪乃は、重要参考人として手配されています」
 と、室田が言った。
 常石家の居《い》間《ま》である。うめがお茶を運んで来た。
 「あの奥《おく》さんがご主人を殺すとは思えませんわ」
 と、公江は言った。
 「でも、ご主人が殺された時間には、まだ奥さんはあのアパートにいたのよ」
 と文江がお茶をすすりながら言った。
 「そうなんです。ただ、ああいう、年を召《め》した婦《ふ》人《じん》が、男を殺そうという場合、まず刃《は》物《もの》で刺《さ》すとか、あまり強い力を必要としない方法を取るのが普《ふ》通《つう》です。首を絞《し》めてというのは、ちょっとひっかかるところなんですよ」
 「酔《よ》い潰《つぶ》れていたら、どうですか?」
 と、草永が訊《き》く。
 「その可《か》能《のう》性《せい》はあります。しかし、あの部屋の中には、アルコール類の容《よう》器《き》は一つもなかったです」
 さすがに室田はちゃんと見ているのだ。
 「坂東さんが、なぜ殺されたのか、不思議ですね」
 と、公江が言った。
 「そうなのです。いや、さすがにいい所に目をつけておられる」
 どうやら、室田は女《じよ》性《せい》をの《ヽ》せ《ヽ》る《ヽ》ことにかけてはベテランらしい。「——坂東夫《ふう》婦《ふ》の暮《くら》しについては、色々と疑《ぎ》問《もん》が多いのです」
 「まず、どこで生活費を得《え》ていたか、ですね」
 と文江が言った。
 「そうです。地元の警《けい》察《さつ》の調べで、毎月、坂東市之介の口《こう》座《ざ》へ、金が振《ふ》り込《こ》まれていたことが分りました。月に二十万です」
 「二十万。——東京で暮《くら》すにはぎりぎりの収《しゆう》入《にゆう》ね」
 「しかし、老人二人ですからね。誰《だれ》が振り込んでいたのかは分りません。同じ東京都内の支《し》店《てん》から入れられているんです」
 「じゃ、東京の人が? 親類でもいたのかしら?」
 「そうではないようです。少なくとも血《けつ》縁《えん》関係のある者で、東京にいる者は、一人もいません」
 「じゃ、誰《だれ》が——」
 「分りません。これは一つの謎《なぞ》です」
 「ですが」
 と、公江が言った。「毎月二十万円のお金といったら、決して少ない額ではありませんよ」
 「そうなんです。ある程《てい》度《ど》、自分の生活にゆとりのある人でなくては、できないことでしょう」
 草永が口を挟《はさ》んで、
 「しかし、二十万という額《がく》は、たとえば、口止め料とか、そういう類《たぐい》の金としては、多いとはいえませんね」
 「口止め料ってどういうこと?」
 「たとえば、の話さ。和也君の死に責《せき》任《にん》がある誰かが払《はら》っていたとすれば——」
 「やはり、二十万という金額は、かなりゆとりのある人が、好《こう》意《い》で送っていた、とみるべきでしょうね」
 と、室田は言った。「もっとも、却《かえ》って、それが良くなかったようですが」
 「というと?」
 と、公江が不思議そうに訊《き》いた。
 「坂東は働けば、まだ働ける体だったのに、まるで仕事を捜《さが》そうともしなかったのです。どうやら、七年の間に、すっかり人《ひと》柄《がら》は変ってしまっていたようですよ」
 「難《むずか》しいものですね、人間というのは」
 「全くです。——まあ、妻《つま》の雪乃の方は、もともと地味な性《せい》格《かく》の女だったようですね」
 「そうです」
 「ここへやって来て、なぜあんなことを言って行ったのでしょう?」
 「さあ……」
 「本当に、誰《だれ》かに復《ふく》讐《しゆう》するつもりなら、そんなことを匂《にお》わしたりはしないものですからね」
 室田の言葉は、少し文江の気持を楽にしてくれた。
 「でも、村の人たちは、びくびくしているようですわ」
 と公江が言った。
 「いつまでも続きはしませんよ。何日かたてば、人間の生活は元に戻《もど》ります」
 室田の言葉に、公江は微《ほほ》笑《え》んで、
 「あなたは私とよく似《に》た考え方をなさる人ですね」
 と言った。
 室田は照れて頭をかいた。
 
 眠《ねむ》りに入りかけた文江は、ふと冷たい風に目を開いた。
 障《しよう》子《じ》が開いている。——誰《だれ》だろう?
 エイッとばかり、布《ふ》団《とん》に一気に起き上ると、
 「ワッ!」
 と、びっくりして草永がひっくり返る。
 「何だ、あなただったの。声をかけりゃいいのに」
 「だって……眠ってるかと思ったんだよ」
 草永は、部《へ》屋《や》へと這《は》入《い》って来て、「まだ十一時だぜ」
 「こういう所に来ると、早《はや》寝《ね》早起きの習《しゆう》慣《かん》がつくわね」
 「あの、うめって人、何時頃《ごろ》起きるんだ?」
 「五時には起きるんじゃないかしら」
 「五時!——じゃ、自分の部屋で寝なきゃだめだな」
 「当り前よ」
 「でも——その前なら大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》だろ?」
 と、布《ふ》団《とん》へ潜《もぐ》り込《こ》んで来る。
 「私《わたし》たち、新《しん》婚《こん》旅行に来てるわけじゃないのよ」
 「分ってる」
 「殺人事《じ》件《けん》の捜《そう》査《さ》なのよ」
 「分ってる」
 「それなのに——そんなことしてて——」
 「分ってるってば」
 草永の唇《くちびる》を、文江の唇が受け止めて、二人は抱《だ》き合った。——が、すぐに邪《じや》魔《ま》が入ることになっていた。
 「——あの音は?」
 と、体を起こしたのは、草永の方だった。
 「え?」
 「ほら——ジャンジャン鳴ってる」
 「半《はん》鐘《しよう》だわ。火事だわ、きっと!」
 文江は飛び起きて、窓《まど》へと駆《か》け寄《よ》った。
 「見て! 村の方よ!」
 都会と違《ちが》って、本当の闇《やみ》が続く夜の奥《おく》で、赤く、明るい一角があった。
 「大変だわ!」
 「行ってみよう」
 草永は自分の部《へ》屋《や》へと駆け戻《もど》った。
 二人が服を着て一階へ降《お》りて行くと、公江が出て来た。
 「お母さん、火事?」
 「そうらしいよ。駅の方だって。——行ってみてくれる?」
 「いいわ。草永さん、行きましょう」
 「よし。——燃《も》え広がると危《あぶな》い」
 「ここまでは来ないわよ」
 と文江は言った。「でも村は危いわね」
 村まで、二人は走った。文江も、若《わか》いつもりであるが、何しろ運動不足は如何《いかん》ともしがたい。
 途《と》中《ちゆう》で大分息切れがした。
 「大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》かい?」
 「平気——平気。こんなことで——へばってたまるかって!」
 「無《む》理《り》すんなよ」
 村外れまで来ると、子《こ》供《ども》を抱《だ》いた百代が、道に出ていた。
 「百代! どうなの?」
 「あ、文江。——何だか駅の向う側らしいのよ」
 「駅の向う?」
 と文江は訊《き》き返した。「何もないじゃないの。倉庫ぐらいで」
 「その倉庫らしいわ。今、消火しているところよ。主人も駆《か》けつけて行ったけど」
 「よし。行ってみよう」
 文江は、草永の後を追って駆け出した。
 駅の近くでは、村の人たちが総《そう》出《で》で、火の様子を見守っていた。
 「駅の向う側に、木《もく》造《ぞう》の倉庫があるの。それが燃《も》えてるらしいわ」
 と、文江は言った。「——大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》よ、ほら。大分火が弱まってるわ」
 「残念。僕《ぼく》の出る幕《まく》がなかったか」
 「何言ってるの。——それにしても変ね。あんな所から、どうして火が出るのかしら?」
 「放火かな」
 「まさか」
 と反《はん》射《しや》的に言って、文江は、草永の顔を見た。「あの犯《はん》人《にん》が?」
 「かもしれない」
 二人が、村人たちから少し離《はな》れて立っていると、
 「やあ、来ていたのかね」
 と、やって来たのは、駅長の金子だ。
 「どうしたんですか?」
 「いや、分らん。そんな危《あぶな》い物は一つも入ってなかったはずなんだよ」
 「じゃ、原《げん》因《いん》は分らなくて——」
 「うん。どうも付け火じゃないかな」
 「でも誰《だれ》が?」
 「子《こ》供《ども》が、坂東のとこの奥《おく》さんらしい女を見たとか言っとるんだが、ちょっと怪《あや》しい。しかし、村の連中は信じるかもしれないよ」
 まずいな、と文江は思った。
 こういう噂《うわさ》が、また一つの罪《つみ》を作り出してしまう。
 「でも、あの人は七年間、ここにいなかったわけでしょう。なぜ子供が顔を知ってるんです?」
 と、草永が訊《き》くと、金子は、ちょっと肩《かた》をすくめて、
 「知らんね」
 と言った。
 金子が行ってしまうと、文江と草永は顔を見合わせた。
 「——ああいういい加《か》減《げん》なところが、悪いんだな」
 「仕方ないわよ」
 と文江は金子を見送って、「下手《へた》すれば、自分の責《せき》任《にん》になるでしょ。だから、ともかく、犯《はん》人《にん》を見付けないとね」
 「なるほど。しかし、村の住人としても、犯《はん》人《にん》を外《ヽ》に《ヽ》捜《さが》したいんだろうな。その気持、分るね」
 「きっと、雪乃さんの仕《し》業《わざ》だって話が、アッという間に広がるわ」
 と、文江は言った。
 火は急速に衰《おとろ》えつつあって、村人も少しずつ家に戻《もど》り始めていた。
 
 「おはよう」
 食卓について、草永は言った。
 「起こされた?」
 「ああ、五分遅《おく》れたら、朝食がなくなる、とおどかされたよ」
 文江は笑《わら》って、
 「都会風の朝食にしてあげたわ。——さ、コーヒー。ゆうべは寝《ね》不《ぶ》足《そく》じゃない?」
 「いや、そんなことないさ。仕事の忙《いそが》しいときは、もっと睡《すい》眠《みん》時間が短いこともあるからね」
 「へえ、意外と働き者なのね」
 「意外と、ってことないだろ」
 草永はトーストにかみついた。
 「今日は、まず、ゆうべの火事のことを調べましょう。何か関係ありそうだわ」
 「偶《ぐう》然《ぜん》にしては、ちょっとおかしいね」
 「やっぱり放火の線ね。でもなぜ?」
 「一種の象《しよう》徴《ちよう》かもしれないぜ。村の人たちをおどかすための……」
 「そうかなあ」
 「そうでないとすると——」
 と言いかけて、草永は、ふとコーヒーカップを持つ手を止めた。
 「なあに?」
 「もしかして、村の人たちが外へ出て来るように仕向けたのかもしれない。火事に気を取られている間に——」
 「まさか、そんな!」
 「しかし、他《ほか》に何か考えられるかい?」
 「分らないけど……」
 文江は思い切りコーヒーを飲み干《ほ》すと、立ち上った。「じゃ、村へ行ってみましょうよ!」
 二人は、村への道を急いだ。
 今日は風もない、穏《おだ》やかな日で、まだ時間が早いせいもあって、爽《さわ》やかな朝である。しかし、二人は、そんな雰《ふん》囲《い》気《き》を味わっている気分ではなかった。
 「——ねえ」
 と文江が言った。
 「何だい?」
 「本当に、坂東さんの奥《おく》さんが村の人に仕返しに来たんだと思う?」
 「僕《ぼく》は村の人間じゃないから分らないな。でも、よほどのことがなければ——」
 「見て! 白木さんよ」
 白木巡《じゆん》査《さ》が、自転車を飛ばして来るのが見えた。
 「——白木さん! どうしたの?」
 と、文江が声をかける。
 「や、こりゃ文江さん」
 と、白木が自転車を止めて、「えらいことになって……」
 「ゆうべの火事のこと?」
 「火事? ああ、それもそうですがね、金子駅長が、死んだんですよ」
 文江は、息を呑《の》んだ。そして、思わず、草永の手を、しっかり握《にぎ》っていた。
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