返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 小川未明童話集 » 正文

春はよみがえる(1)

时间: 2022-12-08    进入日语论坛
核心提示:春はよみがえる小川未明太陽たいようばかりは、人類じんるいのはじめから、いや、それどころか、地球ちきゅうのできたはじめから
(单词翻译:双击或拖选)
 

春はよみがえる

小川未明


太陽たいようばかりは、人類じんるいのはじめから、いや、それどころか、地球ちきゅうのできたはじめから、光ひかりのとどくかぎり、あらゆるものを見みてきました。この町まちが火ひを浴あびて、焼やけ野原のはらと化かし、緑みどりの林はやしも、風かぜに吹ふかれた木立こだちも、すべて、あと形かたもなくなったのを知しっていました。
いつしか、そのときから、はや五、六年ねんたったのであります。
「いま一度ど、起おき上あがる気きがあったら、力ちからをためすがいい。」
長ながい間あいだ、自然しぜんの栄枯盛衰えいこせいすいを見みてきた、偉大いだいな母ははである太陽たいようは、町まちの焼やけて焦土しょうどとなったその日ひから、下したを見下みおろして、こういいました。
そして、風かぜは建物たてものの無惨むざんな傷口きずぐちをなで、雨あめは土つちの深手ふかでを静しずかに洗あらったのです。そのうち、ところどころ新あたらしい家いえが建たちはじめ、人々ひとびとの手てによって、植うえられた木立こだちは、ふたたび林はやしとなりました。小ちいさな庭にわにさえ、すくすくとして、木きが風かぜにその小枝こえだを吹ふかせたのです。
やがて、冬ふゆが去さり、春はるになろうとして、気流きりゅうは争あらそいました。乱みだれる雲くもの間あいだから、太陽たいようは下界げかいをのぞいて、たゆみなき人間にんげんの努力どりょくをながめながら、
「おお、いい町まちができた。」と、ほほえみました。
すると、若木わかぎをゆする風かぜが、
「昔むかしも、あちらに、煙突えんとつがあって、いつも黒くろい煙けむりが上あがっていた。」と、ささやきました。
雲くもや、風かぜばかりでなく、小鳥ことりたちも、前まえに遊あそんだのを思おもい出だしたのか、今朝けさ、めずらしくうぐいすが飛とんできて、いい声こえで鳴なきました。
「おや、うぐいすがきたよ。」
正吉しょうきちは、おどろきのあまり、この喜よろこびをだれとともに語かたろうかと、家うちから外そとへかけ出だしました。
この近ちかくに、一人ひとりの画家がかが、住すんでいました。あの人ひとならきっと、いっしょに喜よろこんでくれるだろうと思おもいました。
「おじさん、うぐいすを聞ききましたか。」
正吉しょうきちは、へやへ入はいるなり、いいました。
「聞きいたよ、君きみも聞きいてどうだった。やはりうぐいすはいいね。戦後せんごはじめてだろう。これでやっと、平和へいわの春はるらしくなった。」と、画家がかは、窓まどを開あけて、まぶしそうに青空あおぞらを見上みあげ、はればれとした顔かおつきをしました。
「正しょうちゃんなんか、これからだ。ぼくみたいに年としをとると、若わかいうちのように旅たびへも出でられないから、春はるがきて花はなでも見みるより、ほかに楽たのしみはないが、うぐいすの声こえを聞きいたときに、さすがに生いきがいを感かんじたよ。また、花はなの咲さくうちは、たびたびきてくれるだろう。」と、画家がかは、自然しぜんに対たいして、感謝かんしゃしたのでした。
正吉しょうきちは、こうして、人間にんげんがことごとく平和へいわを愛あいするなら、この世よの中なかはどんなに楽たのしかろうと思おもいました。しかしこのとき、彼かれには一抹まつの不安ふあんが、心こころにわき上あがったのです。また同時どうじに、どうかそんなことが起おこらぬように、そして、おじさんも自分じぶんも、平和へいわな春はるが楽たのしまれるようにと、祈いのったのでした。その平和へいわをかき乱みだしはしないかと、正吉しょうきちの気きにかかったのは、このごろ、この町まちへ越こしてきた青服あおふくの男おとこのことでした。どことなくきざに見みえる、その男おとこはサングラスをかけ、青地あおじの服ふくを着きて、毎日まいにち空気銃くうきじゅうを持もち、この付近ふきんをぶらついていました。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: