よく「個性的になれ」とか、「個性的な人になりたい」とか言うよね。でも、人は個性的になろうとして個性的になれるわけじゃない。なぜなら、そんなことをしなくたって、現にすべての人は個性的だからだ。同じ人は二人といないからだ。
わかりやすい身近な例から考えてみようか。たとえば(注1)宇多田ヒカルみたいな人が現れるとする。そうすると、すぐに、彼女の(注2)まねをした、似たような歌手がいっぱい出てくるよね。それを見た君は、ああ宇多田ヒカルのまねだなとすぐにわかるだろ。そして、つまらないな、ちっとも魅力的でないなと感じるだろ。そりゃそうだよね。宇多田ヒカル本人にしてみれば、誰のまねをしているわけでもなくて、自分の好きなように歌うとこうなる、こうなってしまう。逆から言えば、そうとしか歌えないからそう歌っているわけだ。(注3)聴衆のウケなんか念頭にないわけだ。(1)聴衆はそこにこそ惹かれる。彼女がそのままであるというところにこそ惹かれることになるのだが、偽物にはそれがわからない。自分が本当にしたいことがわかっていないから、人のまねをしたり、他人のウケを気にしたりということになってしまう。
(注1)宇多田ヒカル:米国在住、自作の歌を歌う国際派の若手女性歌手。
(注2)まねをする:.模倣する。(注3)聴衆のウケ:聴衆の評判。聴衆が喜んでくれるかどうか。
問1 (1)「聴衆はそこにこそ惹かれる」とあるが、聴衆はどこに惹かれるのか。
1.個性的な歌い方をすること。 2.自分が好きなように歌うこと。
3.聴衆のウケを気にしないこと。 4.人のまねが上手になこと。
問2 筆者は個性的になるにはどうすればいいと述べているか。
1.人と違ったことをすること。 2.周りのことは気にしないで、自分の好きなように生きていくこと。
3.今のままで何もしないこと。 4.自分が本当にしたいことを見つけること。