場面:電話で、「6」の数秒後
久美子:もしもし。
聡:もしもし。久美。おれだ。
久美子:あら、どちら様で?
聡:久美、怒らないでくれよ。
久美子:あら、なんのことでございますか?
聡:久美、頼むから、真面目に聞いてくれよ。おれだって、断りたいんだけど、如何しても断れないんだよ。お前だってわかってるはずだろ?
久美子:わかってるわよ。だけど毎回毎回、約束してわすっぽかされる私の身にもなってよ。もう、振り回されるのはごめんだわ。
聡:あのなあ、おれだってお前に会いたいよ。
久美子:じゃあ、どうして会ってくれないの?
聡:仕事だから、仕方ないんだよ。あきらめてくれよ。
久美子:私だって、聡を困らせたくて我がまま言ってるんじゃないのよ。どうして、一ケ月にいっぺんのデートさえも許されないのよ。ひどいわ、あんまりだわ。
聡:すまん。
久美子:別に聡に謝ってなんかほしくないわ。ちょっと一人で考えさせて。