私は空いているほうの手で、それを追ったが、どうしても避けない。私は坂の途中でちょっと立ち止まった。と同時に今まで飛んでいた虻は身を逆さに花の芯に深く入って蜜を吸い始めた。丸みのある虎斑の尻の先が息でもするように動いている。暫らくすると虻は飛び込んだ時とは反対にやや不器用な身振りで芯から抜け出すと、すぐ次の花に。そしてさらに次の花に身と逆さにして入り、一通り蜜を吸うと何の未練もなく、どこかへ飛んで行ってしまった。虻にとっては朝顔だけで、私という人間は全く眼中になかったわけである。そういう虻に対し、私は何か親近を覚え、楽しい気分になった。
我用空着的一只手赶,却怎么也赶不走。我索性在坡道上停了下来。不料几乎在同时,那只飞着的牛虻倒转身体深深地扎到花蕊中吸起蜜来,那圆圆的虎斑色屁股尖部像在呼吸似的动着。过了一会儿,与飞入的时候相反,牛虻略显笨拙地从花蕊中抽出身来,马上又倒转扎入另一个花蕊,然后又是另一个花蕊。吸了一通蜜后,它毫不留恋地飞走了。对于牛虻来说只有牵牛花而已,我整个人完全没有在它的眼里。不知怎的,我对这只牛虻产生了一种亲切感,心情也变得愉快了。