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まじめ半分41

时间: 2018-03-31    进入日语论坛
核心提示:男の嫉妬《しつと》�嫉妬《しつと》�という漢字は、二つとも女偏がつく。だから、「嫉妬は女の専売特許だ」 などと言われるが
(单词翻译:双击或拖选)
 男の嫉妬《しつと》
 
 
�嫉妬《しつと》�という漢字は、二つとも女偏がつく。だから、
「嫉妬は女の専売特許だ」
 などと言われるが、本当にそうだろうか。
 私の見たところ、男もどうして、どうしてなかなか嫉妬精神が旺盛である。
 なるほど�嫉妬�という漢字は、女偏で成り立っているかもしれないが�やきもち�という言葉の語源は、男から来ているそうだ。私が言うのではない。あの柳田国男がそう説いている。
 むかし、何人かの男に思いをかけられた女が、どの男を選んでいいかわからなくなったとき、火の上に餅《もち》を一つ置き、その周囲に男の数だけ餅を置いて占った。中央の餅が彼女自身であり、周囲の餅は焼く前からこれは吾作、これは多兵衛、これは捨松、これは竜太と決めてある。やがて餅が膨らんで、中央の餅と周囲のどれかとがくっつく。そのくっついた餅に該当する男を彼女は背の君として選んだ。
 ところが、最初の餅がくっついたというのに、あとから膨らんで、盛んに女の餅にくっつこうとする餅がいる。これはその男が、すでに決まった二人の結びつきに嫉妬を感じているからだと解釈され、このことから�やきもちをやく�という言葉が生まれた、と言うのである。
 つまり、語源的に言えば�やきもち�のほうは、男のジェラシーに由来している。
「しかし、嫉妬と言われると、ヤッパリ女を連想するなあ」
 という意見も多い。
 小説の中に女の嫉妬をテーマにしたものを探したら、それだけで一大文学全集が完成するだろう。少なくとも男の嫉妬をテーマにしたものよりはるかに多いことだけは間違いない。
 だが、この理由は歴史的に、社会的に考えてみれば、すぐに説明がつく。
 男にとって嫉妬は感情の問題にしか過ぎないけれど、女にとっては生活問題でもある。
 身近な実例を挙げて言えば、女房が亭主の浮気にやきもちをやくのは、そのことにより生活の基盤がおびやかされるからでもある。一方、浮気女に惚《ほ》れ込んだ男は、それなりに悩むだろうけれど、彼女に振られたからと言って彼は生計を失うことはなかった。つまり女の嫉妬は感情プラス生活問題なのだから、女のほうに嫉妬が顕著に現われるのは当然のことではないか。
 おそらく女の経済力が強まり、女に養われる男がどんどん増えてくれば、男の嫉妬も相当にヒステリックに、なまなましく現われることだろう。
 話は少し変わるけれど、男の嫉妬が集団的に、しかもいくぶん屈折した形で現われる場合もあるようだ。
 旧聞ながら、女優の関根恵子さんが舞台をすっぽかして失踪《しつそう》した事件。彼女もひどく悪しざまに言われたけれど、恋人の河村|季里《きり》さんはさらに悪く言われた。大衆感情の中に�あんないい女と同棲《どうせい》なんかして�といったねたみがあったとしか考えられない。
 よくよく考えてみると、一般大衆は関根さんのために少しも迷惑なんか蒙《こうむ》っていないのである。
 迷惑を受けたのは、まず芝居の主催者、劇場、共演者、そして関根恵子主演ということで前売りのキップを買っていたごく少数のお客、それだけのことだ。この人たちが怒っていたのならともかく実情はそうではなかった。言っちゃあ悪いが、女優がりっぱな人格者だなんて、だれも思っていないから、失踪したくらいで国民がショックを受け、そのため道徳水準が下降するとも思えない。この点、総理大臣の醜聞とはおおいにちがっている。関根さんの騒ぎの根底には�いい器量に生まれながら、つまらん男にくっついた女�に対するやきもちがあったとしか考えられない。
 そう言えば、三浦友和さんの評判もあまりよろしくないようだ。�引っ越し荷物の中に本棚が一つもなかった�とか、�専門高校を中退しただけの男のオツムなんか、たいしたことない�とか、相当に厭味《いやみ》ったらしい噂《うわさ》が飛んでいる。
 引っ越しの荷物の中に本棚がなかったなんて、だれがわかるのか? たとえ、なかったとしたって、べつにいいじゃないか。本なんか読まなくたって偉い人はいっぱいいる。まして専門高校の中退なんて人間の評価の基準にしてはならないと、かねがね皆さんが言っていることではなかったのですか。
 これもやはり冷静に判断すると、やきもちのせいである。山口百恵さんという、いい女をさっさとさらって行った男に対する大衆の嫉妬のせいである。そして、この嫉妬は明らかに男たちのものだろう。
 関根さんについても、山口さんについても、日本中のかなり多くの男たちは、
「あんな男とくっつくくらいなら、オレといっしょになればいいのに」
 と、チラリくらいは思ったはずであり、ジャーナリストは自らもそう思い、その思いのたけを記事にしたのだろう。かく言う私の、この小論もその例外ではない。
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