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平の将門13

时间: 2018-11-24    进入日语论坛
核心提示:白粉始事 放免は、気がるな男だった。「東国ッていうと、ずいぶん、遠いだろうな。よく一人ぼッちで、来たもんだね。ゆうべみた
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 白粉始事
 
 
 放免は、気がるな男だった。
「東国ッていうと、ずいぶん、遠いだろうな。よく一人ぼッちで、来たもんだね。ゆうべみたいな目に、何度も、道中で遭《あ》やしなかったかい」
「ううん」と、小次郎は、かぶりを振り——「あんな目に遭ったのは、初めてだよ。鈴鹿山《すずかやま》にも、海道にも、ずいぶん泥棒はたくさんいるそうだけれど、大人の後にばかりくッついて歩いて来たから」
「賢いな、おまえは。都へ出て、何になるつもりなんだい」
「学問したり、いろいろ、一人前の男の道を、勉強したりして、帰郷《か え》るんだ」
「とんでもない事だ。いい人間になろうというなら、都から田舎へ、見習いに行った方がほんとだ」
 牛輦《うしぐるま》が、前から来た。悪路に揺れて、輦の簾が、音をたてている。泥濘をよけつつ、それと、すれちがう時、小次郎は、簾のすき間から、チラと見えた麗人の白い容貌《かんばせ》と黒髪に、胸が、どきっとした。そして、薄紅梅《うすこうばい》に、青摺《あおずり》の打衣《うちぎぬ》を襲ねた裳《もすそ》からこぼれた得ならぬ薫りが、いつまでも、自分のあとを追ってくるような気もちにとらわれた。
「ねえ。放免さん」
「なんだい。小冠者」
「へんな事、訊くようだけれど、どうして、都の人は、女も……それから時々の男でも、あんなに、色が白いんだろう?」
「はははは。白粉《おしろい》を、知らないのだろう、おまえは」
「白粉って、何」
「化粧に、顔へ塗《つ》けるものさ。鉛華《えんか》もあれば、糯《もちごめ》の粉で製《こしら》えたものもある」
「なアんだ。顔へくッつけてるのか」
「きまっているじゃないか。女が、白粉をつけ始めたのは、今から二百余年もむかしの、持統天皇の頃からだというのに、まだ、東国へは、行っていないのかなあ」
「見たこともないよ。初めは、ほんとに、色が白い人なのかと思った」
「じゃあ、紅《べに》も知るまい。推古朝《すいこちよう》の頃、僧の曇徴《どんちよう》が製《こしら》え出した物だと聞いているが、おかしな事には、白粉も、観成《かんじよう》という僧が、時の天皇に献上したのが始めだということになっている。……女の化粧になくてならない物が、どっちも、坊さんの発明だというから、おもしろいじゃないか」
「うそだい。それは、遣唐使が、支那《しな》から船で、持って来たんだ」
「ほ。なかなか、おまえも、知ってるな。けれど、輸入して来たのはやっぱり坊主だったにちがいない。どうして、僧侶というものは、あれでなかなか如才のないものだ。大般若経《だいはんにやきよう》だの漢籍みたいな物ばかり持って来たのじゃ、色気がなさ過ぎて、仏法弘通《ぶつぽうぐつう》の方便でないと考えたにちがいないさ」
「放免さん、まだかい。小一条は」
「あ。もう見えている。……あれだよ、あれに見える長い長い築土《ついじ》、御門、幾つもの大屋根、築山の樹々、そっくり取り囲んだ一郭が、のこらず小一条院のお館さ」
 小次郎はもう連れへの返辞もわすれていた。近づくにつれ、彼のひとみは、その宏壮と優雅なる寝殿造りの邸宅の美に打たれて、ただもう驚異と、ある畏《おそ》れに、身が緊《し》まってくるだけだった。
「あ。……今日はまた、お客人《まろうど》を招いて、御宴楽の折とみえる。……な、ほれ。あの舞楽の曲が、洩れ聞えてくるだろうが」
 門前を、やや離れた所で、二人は、ふと佇《たたず》んだ。——なるほど、連れの放免のいうとおり、築土ごしの樹々を透して、笙《しよう》、和琴《わごん》、振鼓《ふりつづみ》、笛などの散楽譜《さんがくふ》が、天上の雲間からでも降ってくるように、小次郎の旅垢だらけな耳の穴へも、春風とともに、忍びやかに、流れこんできた。
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