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平の将門15

时间: 2018-11-24    进入日语论坛
核心提示:右大臣忠平 大人たちのするのを、傍観しているだけでも、小次郎は充分に、血を遊ばせて、退屈をわすれていた。 が、やがて、銭
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 右大臣忠平
 
 
 大人たちのするのを、傍観しているだけでも、小次郎は充分に、血を遊ばせて、退屈をわすれていた。
 ——が、やがて、銭の手もとも夕闇にまつわられて灯が欲しくなりかけた頃。
「牛飼の衆。お客人方いずれも、お座立ちと見えまするぞ。輦寄せへ、そろそろ、立ちならび候え」
 と、奥の者から触れて来た。
 それとばかり、勝った者も、負けた者、一せいに出払って、おのおのの牛輦を曳き出して行った。あわただしい轍《わだち》の啼《な》き軋《きし》みに、まだら牛の斑《ふ》が宵闇をよぎり過ぎたあとは、糞も蠅ももう見えない。どこから紛れてくるのか、遅桜の片々が、晩春の印影を、わずかに描いているだけで、泉殿のあたりであろうか、蛙の声が遠く聞える。
 小次郎は暗がりで、何やらむしゃむしゃ頬ばッていた。邸側から供人たちへ出た弁当の余りを拾ったものらしい。あんなに、虫のいい依頼をした刑部省の獄司ですら、食物などは囚人にくれる粥《かゆ》しか与えはしなかった。また、ここでも、いつ供されるとも知れなかったので、大急ぎで、腹を満たした。
 だが、心配はない。さっきの家司も雑色も、彼を置き忘れてはいなかった。紙燭の影が揺れて来、ふたたび、以前の平門前の前栽《せんざい》まで連れて行かれた。
 すでに、彼がさきに述べた口上と、大叔父国香からの書状とは、家司から取次がれて、右大臣忠平の許《もと》に通じられていたことは確実らしい。
 決して、客らしい扱いではないが、召使たちから、一部の建物のうちに、まず上がることをゆるされ、草鞋《わらじ》など解きかけていると、中庭を隔てたあなたの妻戸《つまど》の蔭で、
「やい、やいっ。家司の臣賀《おみが》は、どこにいやるぞ。臣賀爺《じじ》、急いで来うっ」
 と、不きげんな気色をこめて、大喚《おおわめ》きに呼びたてている人影があった。
 世に、自分の意志の行われぬことを知らぬ藤原一門の長者たる主人の声癖を、家司の臣賀は、遠くでうける老いの耳でも、聞きあやまることはなかった。
「はいっ、はいっ。臣賀めは、御前《おんまえ》でござります。お召は、なんの御意《ぎよい》にござりましたか」
「ここな、不つつか者よ。よい年をしおって」
「あっ、なんぞ、お心にそいませぬか」
「おどけ者よ、爺は。なんぼ、客のあとかたづけに忙しかろうと、あれ程、かたくいいつけた事、なぜおろそかにいたしよった」
 亡兄の藤原時平も、著名な大声で、よく殿上の論争にも、菅原道真という文人肌の政客を、その声できめつけたという話をのこしているが、その弟の忠平も、豊満な肉体の持ち主ではあり、ことし三十八歳という壮年でもあるせいか、兄に負けない喚《わめ》きを時々やるのであった。
「お叱りついでに、まいちど、仰せ下さりませ。爺め、やはり幾ぶん、年老《と》りましたものか、今日のような忙しさにあいますると、つい、ふと、もの忘れなど仕《つかまつ》りまして」
「東国の餓鬼のことじゃよ。国香の書状を持って来たとかいう童じゃよ。まだ、わからぬか」
「は、はい。その小冠者を、どうせいと、おさしずでござりましたやら」
「ええい、やくたいもない耄碌《もうろく》をば。……わしがいったのは、供も連れず、たったひとりで、国香が旅へ追いやった童。どうせ、ろくな者であるはずはない。——それによ、何よりの注意は、長い遠国からの道中、どんな穢《けが》れに触れたやら為体《えたい》も知れん。いやいや、現に、昨夜は、獄舎に寝《いね》、きょうは門前まで、不浄者の放免などに、送られて来たと、われ自身、告げよったことではないか。……いかん、いかん。穢《え》に触れた人間を、館の屋の内の、どこに上げてもよくないぞ。それこそ、大事だ。神禰宜《かんねぎ》をよんで、穢れ払いをすますまで、土居外《どいそと》の、牛小屋へでも入れておけい。……そういうたのじゃ。……それをばなんぞ、爺、おろそかにも、彼方では、招き上げようとしているではないか」
「や、や。それは、しもうた」
「もう遅いわ。穢れ者を上げた所は、すぐ浄《きよ》めろ。そして、童の体も、さそくに浄め払いして、水垢離《みずごり》をとらせい」
 果ては、肩に顫《ふる》えを示すほど、忠平は、癇《かん》をたてた。
 この異様な怒りかたは、病的にすら見えたが、臣賀でも他の召使でも、これを、不自然な嚇怒《かくど》とは、誰も見ない様子なのだ。
 
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