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技巧的生活07

时间: 2018-12-06    进入日语论坛
核心提示:   七 酒場「銀の鞍」の「家風」を、よう子を規準にして判断すると、ゆみ子にたじろぐ気持が起ってくる。そこでは、客はしば
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    七
 
 
 酒場「銀の鞍」の「家風」を、よう子を規準にして判断すると、ゆみ子にたじろぐ気持が起ってくる。そこでは、客はしばしば女たちを物体と見做している一方、女たちも客を商品として取扱っていることになる。
 しかし、たじろぐと同時に、ゆみ子は自分の求めているのはそういう場所に身を置くことだ、という気持にもなる。しりごみすまい、と決心するのだが、
「勤まるかな」
 という木岡の言葉は、そのまま彼女自身の不安でもあった。
 ある夜、一人の男が店に入ってきた。連れはない。椅子に坐り、あたりを見まわす動作が、酒場に馴れきっている。というより、自由な自然の態度である。街を歩いている足取りのままで、店のフロアを歩いて椅子に坐った、という趣があった。
 ゆみ子と眼が合うと、男は大きく手を上げて、手招きした。
「きみは、見馴れない顔だね」
「はい、一週間くらいです」
 女たちが、その席に集ってきた。男は四十年配だが、浅黒い引きしまった容貌で、背を真直のばした姿勢とあいまって、戦争映画に出てくる海軍士官をおもわせた。女たちの表情や態度から、人気のある客と分る。姿勢のよさも、気負いや構えているためでないことが分る。女たちとの会話から、外国映画のフィルムを輸入している会社に勤めている男ということが分った。
 剽軽《ひようきん》なことを言って、その男が女たちを笑わせたとき、よし子が言った。
「油谷《ゆたに》さんて、いつも屈託がなさそうね」
「まるで、親戚のおばさんの家にいるみたいだろう。それも、おばさんの娘は不美人ぞろいだから、気取る必要がない、というわけだ」
「まあ、ひどい」
 よし子は、顔を崩して笑った。四十近いよし子の年齢があらわに浮び上ってきた。いつもは、彼女はそういう笑い方をしない。油谷という男には、どこか気を許させるところがある、とゆみ子はおもいながら、言ってみた。
「ほんとに、自然だわ」
「そうか。しかし、ここまでになるのに、血のにじむほどの修業の時期があったわけだ」
 彼は大仰な口調をつくって言い、
「きみたち、小股が切れ上る、という言葉を知っているだろう。小股とはどの部分か知っているか」
「そのことなのよ。からだのどこかに、そういうところがあるの。膝の裏側かなにかかしら」
 女たちの一人が、言う。
「教えておいてあげよう。女がはじめて芸者に出るとするな。せいぜい芸者らしく歩こうとして、歩くときには内輪に足を踏み出し、大股にならぬように歩く。そういうときには、やはり、わざとらしさがつき纏う。芸者としての修業が積んでくると、歩き方を意識しないでも、自然に足がうまい具合に出て、女らしくそのくせ垢抜けしたきりりとした感じに歩けるようになる。それを、小股が切れ上る、と言うわけだ。つまり、切れ上るとは、卒業するというような意味だな」
「ほんとかしら」
「ほんとうさ。バーの客にも、小股が切れ上るという言葉に当ることがあるな。それは、店の中に入ってくるときの姿勢だよ。馴れないと、緊張して、歩き方がぎくしゃくする。馴れてくると、いかにも馴れているということを衒《てら》っているわざとらしい歩き方になる。そういううちは、まだまだ修業が足りない。やはり、はやくて十年だな、なにごとも十年はかかる」
「きびしいのね」
「きびしくもなるさ、きみたちのような、妲己《だつき》のお百か火の車のおまんみたいな連中を相手にしているとな」
 ゆみ子が、傍のるみの耳にささやいた。
「おもしろい人ね」
「でも、悪い人なのよ」
 そのとき、油谷が不意に言った。
「ああ、おれはさびしい……」
 そして、ゆみ子の眼を覗きこむと、
「どうだ、なぐさめてくれないか。店が終ってから、遊びに行こう」
「ええ、いいわ」
 ゆみ子は咄嗟に、そう答えていた。油谷にたいする好意はあったが、もう男と厄介な関係になるのはまっぴらだとおもっていた。そういうゆみ子が、承諾の返事をしたのは、しりごみする自分が癪だったからである。
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