日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 喬林知 » 正文

今日からマ王3-12

时间: 2018-04-29    进入日语论坛
核心提示:     12「これはまた、えらく大胆《だいたん》な誘《さそ》い方だな」 意を決してヴォルフラムの部屋の扉《とびら》を叩《
(单词翻译:双击或拖选)
      12
「これはまた、えらく大胆《だいたん》な誘《さそ》い方だな」
 意を決してヴォルフラムの部屋の扉《とびら》を叩《たた》いたおれに、美少年は複雑な表情で小首を傾《かし》げた。普段《ふだん》のおれからは想像もできないらしく、綺麗《きれい》な色の唇《くちびる》を噤《つぐ》んでいる。
 「一緒《いっしょ》に風呂《ふろ》に入ってくれるだけでいいんだって。恥ずかしけりゃ海パン穿《は》いたままでもいいからさ」
「二人きりなら別に恥ずかしくはないが……」
「じゃあ風呂、今すぐ! 急いでるんだ。おい何の準備してるんだよ、タオルと替えパンだけで|充分《じゅうぶん》だよっ」
 部屋の奥で妙《みょう》な道具まで用意している。いくらなんでもアヒルちゃんは要《い》らないだろう。
 頬《ほお》を緩める三男を引っ張って、勝手知ったる王城の風呂場に向かった。
 魔王《まおう》陛下のプライベートバスは相変わらず豪華《ごうか》で、クリーム色を基調とした巨大《きょだい》な浴槽《よくそう》は、公式記録が計れそうな規模だった。練習用のプールもない暑い国に、これを部屋ごと寄付してあげたい。
 本日はセクシークィーン・ツェリ様も、背中流しジョーズなシュバリエもいないが、角が五本の牛の口から、湯はごぼごぼと流れっぱなし。泳ぎ放題、飲み放題だ。
「いちにの」
 さん。
 呆気《あっけ》にとられるヴォルフラムの目の前で、服のまま鼻を摘《つま》んで浴槽に飛び込んだ。一瞬《いっしゅん》だけ沈《しず》んで底にぶつかりそうになるが、すぐに浮《う》かんできてしまう。
「ぷは」
「何をやっているんだ?」
「悪ィ、ちょっと背中押してみてくれる?」
 髪からもシャツからも水を滴《したた》らせながら、おれは再びプールサイドにしゃがみこんだ。
「押して」
「だから、どういう遊びだ?」
 むりやり押させて水面に落ちても、やっぱりすぐに浮いてしまう。おかしい。
「おっかしいんだよ……ぎゃ、なんだよッ飛び込むなって!」
 |輝《かがや》く|金髪《きんぱつ》をずぶ濡《ぬ》れにして、ヴォルフラムまで第一コースに入ってきた。天使の水浴びという光景だが、おれを真似《まね》て服は着たままだ。平泳ぎで二|掻《か》き進んでくる。
「お前がダイブしてどーすんだよっ! お前はいいの、おれを押してくれれば」
<img height=600 src="img/207.jpg">
 白い腕《うで》を首にからめてくる。
 かろうじて押し倒されずに済んだのは、浮力《ふりょく》のおかげに他《ほか》ならない。
「抱《だ》きつくなよっ」
「斬新《ざんしん》なやり方を試《たの》すんじゃないのか?」
「やり方ってどの……ヴォルフ、よからぬ期待をしていたな!?」
 おれがこんなに切羽《せっぱ》詰《つ》まっているのに、相手は何やら楽しげな想像を膨《ふく》らませていたのかと思うと、こみ上げる怒《いか》りを通り越《こ》して、情けなさに頭《こうべ》を垂れてしまう。風呂の底にしっかりと足の裏をつけて、ゆっくり膝《ひざ》を伸《の》ばしてみた。
 吸い込まれない。
「……帰れないんだよ」
「はあ? ちゃんと帰ってきただろう」
「そうじゃない。スヴェレラからコナンシアを抜《ぬ》けて、|眞魔《しんま》国には戻って来られたけど、今度は自分ちに行けなくなっちゃったんだよっ」
 ガキみたいに水を撥《は》ねさせて、|両腕《りょううで》を不規則に振《ふ》り回してみた。顔に湯がかかるのを避《さ》けようと、三男は軽く背伸びをする。
「帰れねーんだよ、家に、地球に、日本に! この前もその前も水関係だったから、今度も風呂からだろうと思ってやってみたけど、一人じゃどうしても駄目《だめ》なんだよッ! だからこの間みたいにお前に追い詰《つ》められれば、ピーンチってんでスターツアーズかかるかもって気が付いて……押してもらったけどやっぱ駄目なんだよっ」
「なんだとー?」
「……ヴォルフ、顔が森進一《もりしんいち》になってるぞ」
 眉間《みけん》と鼻に絶妙《ぜつみょう》な皺《しわ》を寄せて、魔族の元プリンスは顎《あご》を上げた。小刻みに肩を揺《ゆ》すっている。
「そんなことのためにぼくを使おうとしたのか?」
「そんなことって、あのなあ、おれにとってどれだけ重要なことか」
「だってお前はもうこの国の魔王なんだから、どこにも行く必要はないだろう? ユーリにとって帰るといえばこの城だ。ずっと、半永久的に、永遠にいるのが当たり前じゃないか」
 意地悪く強調する言葉をいくつも並べる。美形に正論を突《つ》きつけられると、通常の倍のダメージを受ける。彼の言い分は|恐《おそ》らく事実であり、おれの飛び込みは八割方、悪《わる》足掻《あが》きだ。
 でも、日本に戻《もど》れなくなるなんて、まったく考えていなかったんだ。
「だってそーだろ!? 前もこの前もそうだったじゃん。それなりに|一生《いっしょう》懸命《けんめい》、ベストを尽《つ》くして事件を解決すれば、ステージクリアで帰れただろ? 今度だって魔笛もゲットしたし、そっくりさんも……大して似てなかったけど、無事に保護したし、ノーマルモードレベルとはいえ、どうにか作戦成功だろ。なのになんで帰れねーの? セーブできねぇの? もう二度と向こうに戻れないんだとしたら、おれこのまま眞魔国でどうなっちゃうの!?」
「魔王として暮らすんだよ」
 耳にタコができるくらい聞き慣れた単語なのに、一瞬、息が止まるかと思った。
 そうだよ、おれはその地位に就《つ》くって宣言したよ。確かに皆《みな》の前で誓《ちか》ったさ。
「でも帰れないなんて……考えてもみなかったんだ。だって日本に戻れなかったら、西武が優勝できるかどうかも見届けられないじゃないか。伊東さんからインサイドワーク学ぶこともできないじゃないか。それどころか野球が二度と観《み》られないじゃないか」
「新しい球技団体を設立すればいい。国技にするって息巻いていただろう」
「おれまだそんな、上級者じゃねーもん」
 水を吸った布が、ひどく重い。なのに身体《からだ》は沈まない。
「それにチームも学校も、友人も……村田だっておれが沈んだきり浮かんでこなかったら、驚《おどろ》いて責任感じるだろうし」
 もしかして現代日本の渋谷有利は、シーワールドのイルカショーで死んだのだろうか。今ここで息をしているのは別の肉体で、準備体操もせずに入ったプールで心臓|麻痺《まひ》を起こし、苦しむ間もなく死んだのだろうか。
 だから帰れなくなったのか?
「だったら……どうしよう……家族に何て言おう……いやもう何一つ言えないのかも。おれにだって妻子が」
「妻子がいるのか!?」
「こんな時に揚《あ》げ足とるなよっ、親兄弟だよ、おれにだって親も兄貴もいるんだ、急に家族に会えなくなるなんて……そんなばかな、そんな理不尽《りふじん》なこと」
「解らないやつだな」
 濡れてはりつく|前髪《まえがみ》を掻きあげると、ヴォルフラムは二歳くらい年上に見えた。エメラルドグリーンの高慢《こうまん》そうな瞳《ひとみ》が|眇《すが》められる。彼は本当に天使の顔で、残酷《ざんこく》な現実を突きつける。
「お前はこの世界に属する者だ。|魂《たましい》の属する場所からは逃《に》げられない」
「誰《だれ》も教えてくれなかっただろ」
 語尾《ごび》が微《かす》かに震《ふる》えるのが、自分の耳でも聞き取れた。
「それくらいの覚悟《かくご》もなかったのか?」
 
 
 おれは安易に選びすぎたんだ。
 
 
 これ以上、沈黙《ちんもく》を続けると、みっともない姿を曝《さら》してしまいそうだ。
 おれは勢いよく湯に潜《もぐ》り、何度も底を押してみた。可能な限り水中で待ち、通い慣れた道が開かないかと目を凝《こ》らした。
 自棄《やけ》を起こしちゃいけない、冷静になれ。ピンチの後にはチャンスがあるって、昔から解説者が言ってるじゃないか。追い詰められた時こそ落ち着いて、周囲をゆっくり見回さなくては打破できない。
 どんな格言を並べても、非常識な水流は現れなかった。
「おいっ」
 ヴォルフラムに引き上げられるまで、息をするのも忘れていた。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%