[原文]
決断(下)
大きなハエが、窓のところで、ブーンブーン飛んでいます。
冬のハエは殺さんといかんのです。けど、夏になったらいっぱい赤ちゃんが生まれるんだと思ったら、”生”の神秘さを感じて、殺せなかった。
窓から、新校舎の方をじっと見ていた。
「ああ、これが東高なんだ」と、感慨無量になった。
ふっと空を見上げたら、白いお月様がいらしたの。
「好きで病気になったんじゃあない。体が不自由でも残されたものはたくさんある。もし、亜也が考える能力もない人間だったら、病気になって初めて知った人の温かさ、優しさに触れることはできんかったんよ」と、母。
Sちゃんと大池のほとりの日だまりで、渡り鳥の鳴き声を聞きながら話した。
「亜也ちゃんって変わっとると思うよ。『空が青くてきれいだね』なんて感激して言えるもん。心が繊細だよ」と、Sちゃんが言う。
「いっしょにいて、心のなごむ人っている?」と聞いたら、
「うーん、妹か弟かな。だって威張れるもん。でも、やっぱり一人の方が一番なごむ」
Sちゃんは、自分で選んで一人の生活をしている。引き裂かれて一人になる亜也。
このちがい……。
[译文]
窗子那里有一只很大的苍蝇,嗡嗡的飞来飞去。
冬天的苍蝇一定得打死。但是,我一想到,到了夏天的话就会有很多苍蝇宝宝诞生,感到“生命”是那么神奇,便无法下手杀死它了。
透过窗户,眼睛一眨不眨地盯着新校舍的方向看。
“啊,那是东高啊。”无限感慨。
不经意的抬头看,天上有一轮明月噢。
“谁也不喜欢生病。身体虽然行动不便,但其他都很健全。如果亚也是没有思考能力的人,你就无法体会,那种生病后才感受到的人们的温暖和关心。”妈妈说。
我和S在阳光充足的大池旁边,边听着鸟鸣边聊着天。
“我觉得亚也变得会说‘蓝蓝的天空多美啊’之类感动的话语了,心很纤细了哦。“S说。
“有那种和他在一起就能使你心变得平和的人吗?”我问她。
“嗯,妹妹或弟弟。不过也有点嚣张(感觉这样说不是最好)。还是一个人的时候心情最平和。”
S按照自己选择的方式生活。这与被丢弃的亚也不一样……