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食物ことわざ事典133

时间: 2020-01-15    进入日语论坛
核心提示:一尺の薪をくべるより一寸の蓋をしろ 家庭のそうざい料理のなかで、ふだん、もっともひんぱんに行なわれる調理法は煮たきもので
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一尺の薪をくべるより一寸の蓋をしろ

 家庭のそうざい料理のなかで、ふだん、もっともひんぱんに行なわれる調理法は煮たきものでしょう。煮たきものは、ゆでものと同じように水または煮出汁のなかで、加熱することにより、かたいものをやわらかくして消化吸収をよくし、材料のうまさを発揮させ、煮ている間に、調味料を使って味つけできる長所があります。煮たきもので、いちばん気をつけなければならないことと言えば、材料が煮えるのに要する時間内に、全体が煮え終わるように、なべや熱源、煮る分量、煮汁の量を案配することです。
すべて煮ものは(特に生《なま》ものを煮る場合)、沸騰するまではかきまぜないことが原則で、かきまぜると冷たい空気が浸入して温度が下がり、せっかくの沸騰が妨げられるばかりか、煮るものや煮汁から離れる|あく《ヽヽ》なども、離れにくくなってしまいます。したがって、味わいにも微妙な影響を与え、おいしい煮ものにはなりません。
煮る材料の大きさ、分量、火力、なべに入れる際の煮汁の温度などに、細かく注意を行届かせ、沸騰がスムーズに行なわれるように準備することがたいせつです。煮もの上手と下手のわかれ道は、ここにあります。
煮ものは沸騰前に火力が弱まると、料理の香りと味、煮えかげんに悪影響を及ぼします。このことわざは、その急所を教えたものでしょう。ふたをあけ放して煮ると、水分が蒸発し、気化熱を失って燃料のムダをきたすことになります。特別の場合を除いて、ふたをして煮るのが煮ものの上手なコツ。煮ものに圧力なべや二重なべを用いるのも、こうすれば食品を早くやわらかくし、栄養素の損失も少なくてすみ、燃料のムダも節約できるからです。
魚や芋、豆などを形を崩さずに、しかもやわらかく、色のあせぬように、じっくり味をしみ込ませようとする場合、なべのふたよりも小さな木のふたを、材料の上にじかに置きます。これを「落《おと》し蓋《ぶた》」といいますが、ふつうの|ふた《ヽヽ》だけだと、材料が積み重なっている場合(煮魚などの場合は特に)、少量の煮汁がなべ底にあたる部分の材料にしかゆきわたらず、味も熱もしみ込まないために半煮えの現象を起こします。
また、煮汁や水が沸騰すると、どんどん水分が蒸発して、水蒸気がふた裏にたまって水滴となり、煮ものの上に落ち、また蒸発します。こうしたことの繰り返しが材料の気化熱をうばって、やわらかく煮上げるのに時間がかかり、燃料がムダになります。「落し蓋」を使えば、材料とふたとが接近しているため、沸騰して汁が「落し蓋」の上に上がっても、吹きこぼれる心配がなく、汁がまんべんなくゆきわたって、全体に味がしみ込み、気化熱の損失も少なく、早く煮えます。「落し蓋」には調理によって、木や紙ぶたの別がありますが、大きさはなべの直径の一割弱のものが効果的で、煮もの用なべの大小に合わせて、木製の一文字ぶたを二、三枚常備しておきましょう。
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