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食物ことわざ事典160

时间: 2020-01-15    进入日语论坛
核心提示:腐っても鯛 タイはふだん水深三〇〜一五〇メートルの海底に近い岩礁《がんしよう》地帯に棲み、強い水圧をうけるせいか、肉細胞
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腐っても鯛

 タイはふだん水深三〇〜一五〇メートルの海底に近い岩礁《がんしよう》地帯に棲み、強い水圧をうけるせいか、肉細胞の外膜《さや》がたいへん頑丈《がんじよう》にできていて、少々の細菌が取りついても、なかなか腐りません。イワシやサンマのように海の上層を回遊する魚とちがい、肉質中に水分が少ないため、腐敗菌が繁殖しにくく、一部が侵されても、水漬けして水を根気よく何度も取り換え、手間を惜しまず洗ってやると、刺身やお吸いものにはムリでも、塩を強くした焼きものや、ウンと味の濃い煮もの、タイ|でんぶ《ヽヽヽ》などにしたら、なんとか使いものになります。姿・形・色の品格のよさもさることながら、こうした実益もあって「腐っても鯛」と尊ばれたのでしょう。
タイは種類が多く、世界中では百数十種にものぼるといわれますが、その中で日本人がとりわけ好きなのはマダイ。美しい桜色とりっぱな姿で、まさに海魚の王様にふさわしい品位を備えています。東京あたりでは本ダイとも言い、体長五〇センチを越すものもいるので、大ダイの名でも呼ばれます。タイという名前が「めでたい」の「たい」に通ずるところから、祝儀用には必ず用いられ、正月には欠かすことのできない魚です。
冬の寒い最中《さなか》は外洋の深海に棲み、三月末から四月中旬にかけて産卵のため紀淡海峡、鳴門海峡を潜って、大阪湾や瀬戸内海沿岸に近寄ってきます。このころのタイはサクラダイの名で呼ばれ、もっともおいしく、四国および岡山地方の名物、「タイの浜焼き」も、この時季のものが上等です。五月末から六月にかけて産卵をすませ、外海へ出るころはやせて味もグンと落ち「クサレダイ」「オチダイ」とさげすまれ、徳島あたりでは「ムギワラダイ」と呼んで軽蔑《けいべつ》します。季節がちょうど麦秋のころにあたるからでしょう。
タイは日本でこそ海魚の王様とあがめられていますが、フランスでは「貪欲《どんよく》な下魚」、イギリスでは「ユダヤ人の食う魚」と卑《いやし》められています。それというのも、品のよさに似合わず食い意地が張っていて、徹底した肉食主義者だからです。エビ、カイ、タコ、イカナゴ……と、そのエサは三〇数種に及ぶと聞きます。『古事記』に登場するタイもご多分にもれず、山幸彦《やまさちひこ》の垂れた釣針を|もろ《ヽヽ》に呑み込み、のどにつかえて大苦しみする羽目に陥っています。
俗にマダイは目の下一尺がうまい——といわれ、二キロ前後のものがもっともおいしく、値段もいちばん高い。内臓以外、ほとんど捨てるところがなく、頭一つでも、潮汁《うしお》、かぶと蒸し、ちりなべ、かぶと焼きなどの料理があり、胸ビレ、背ビレ、尾ビレと装束《しようぞく》が美しいので、盛りつけがいがあり、いろいろに使われます。タイ料理の名物としては、土佐の皿鉢《さわち》、伊予の骨蒸《こつむ》し、島原のかぶと蒸し、岡山の浜焼き、加賀の祝事用のタイの唐蒸し、大阪のタイの頭の山椒焼き、福井|小浜《おばま》の一塩焼きなどが有名です。
タイの骨で傷をつけたら治りが遅い——といわれるほど骨は固く、召し上がるときは、くれぐれも骨に注意してください。
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