病気になってから、医者よ薬よと騒ぐのはつまらない。それでも治らないよりは|まし《ヽヽ》ですが、はじめから病気にならなければそれに越したことはありません。ふだん、健康なときから食べものに気をつけ、正しく摂《と》っていれば、たとえ病気にかかったときでも、治りが早いことは、お医者さんの研究結果で明らかになっています。このことわざは文字通り、薬屋に回すお金があったら、肉屋に回せ——と、ふだんの食養生のたいせつさを強調しています。主婦は一家の大蔵大臣兼厚生大臣なのですから、ご家族みんなが健康な日々を送れるよう、諸経費の支出と配分を誤らぬ心がけがほしいものです。
さて、ここでは肉屋さんに回すお金を有効に生かすため、「肉の上手な買い方」について触れてみましょう。ふつう肉屋さんの値段の表示は二通りに分けられます。極上、上、中、並、コマ切れ……のような等級別に分けている店と、水炊き用、すき焼き用、カレー用、ポークソテー用、カツ用、シチュー用と料理の用途別に整形して売っている店とです。店の置かれた立地条件、お客さんの好みなどによって、どちらか売りやすい方法を選んでいるようです。整形して売る店は、最近の人手不足から、これをカバーするために、ますます増えつつあります。
整形肉はお勤め帰りのサラリーマンなどには、待たずに買えるので確かに便利ですが、果たしてどこの部分の肉が使われているか、消費者にとっては甚だ不明確です。中にはこの|あいまい《ヽヽヽヽ》なところを利用して、上肉の中に当然中肉であるべき肉を混ぜたり、古い売れ残り肉を入れたりする肉屋もあるようです。こうして整形肉の品質のバラつきは半ば当然のようになっています。ところで、極上、上、中、並の等級は何を基準に行なわれているのでしょう? ブタ肉を例にとれば、肉屋さんの仕入れは通常骨つきの「枝肉」という状態で卸し業者から買い取り、枝肉から骨と脂肪を取除き、肉の分解に取りかかるわけですが、枝肉の取引き段階にすでに「上・中・並・等外」の四つの格付けがあり、これは消費者には知られていません。
「極上」は枝肉規格で上と格づけされた肉のロースとヒレの二か所だけ。肩ロース、内モモ、ラン、シンタマは「上肉」の部。ソトモモ、シャクシは「中肉」。バラは「並肉」とふり分けるのが常識とされています。そこで上手な買い方は、上、中、並のねだんに頼らず、肉のどの部分の肉かを確かめること。できれば「ロース」「バラ」と部位買いをなさることです。ご参考までに料理に適した部位を示すと、
◎ロース[#「ロース」はゴシック体]——カツ、ソテー、ポークロースト。◎肩ロース[#「肩ロース」はゴシック体]——焼きブタ、煮込み、ソテー。◎モモ[#「モモ」はゴシック体]——シチュー、カレー、カツ、上等ひき肉、八宝菜など。◎ヒレ[#「ヒレ」はゴシック体]——カツ、ステーキ、ロースト、ポークチャップなどに。◎バラ[#「バラ」はゴシック体]——シチュー、酢ブタ、カレー、ブタ汁などに。
いずれにしろ、よくはやっている良心的な店を選び、料理の目的に合ったものを店員に聞いて、必要量だけ目の前で切ってもらうようにしましょう。
さて、ここでは肉屋さんに回すお金を有効に生かすため、「肉の上手な買い方」について触れてみましょう。ふつう肉屋さんの値段の表示は二通りに分けられます。極上、上、中、並、コマ切れ……のような等級別に分けている店と、水炊き用、すき焼き用、カレー用、ポークソテー用、カツ用、シチュー用と料理の用途別に整形して売っている店とです。店の置かれた立地条件、お客さんの好みなどによって、どちらか売りやすい方法を選んでいるようです。整形して売る店は、最近の人手不足から、これをカバーするために、ますます増えつつあります。
整形肉はお勤め帰りのサラリーマンなどには、待たずに買えるので確かに便利ですが、果たしてどこの部分の肉が使われているか、消費者にとっては甚だ不明確です。中にはこの|あいまい《ヽヽヽヽ》なところを利用して、上肉の中に当然中肉であるべき肉を混ぜたり、古い売れ残り肉を入れたりする肉屋もあるようです。こうして整形肉の品質のバラつきは半ば当然のようになっています。ところで、極上、上、中、並の等級は何を基準に行なわれているのでしょう? ブタ肉を例にとれば、肉屋さんの仕入れは通常骨つきの「枝肉」という状態で卸し業者から買い取り、枝肉から骨と脂肪を取除き、肉の分解に取りかかるわけですが、枝肉の取引き段階にすでに「上・中・並・等外」の四つの格付けがあり、これは消費者には知られていません。
「極上」は枝肉規格で上と格づけされた肉のロースとヒレの二か所だけ。肩ロース、内モモ、ラン、シンタマは「上肉」の部。ソトモモ、シャクシは「中肉」。バラは「並肉」とふり分けるのが常識とされています。そこで上手な買い方は、上、中、並のねだんに頼らず、肉のどの部分の肉かを確かめること。できれば「ロース」「バラ」と部位買いをなさることです。ご参考までに料理に適した部位を示すと、
◎ロース[#「ロース」はゴシック体]——カツ、ソテー、ポークロースト。◎肩ロース[#「肩ロース」はゴシック体]——焼きブタ、煮込み、ソテー。◎モモ[#「モモ」はゴシック体]——シチュー、カレー、カツ、上等ひき肉、八宝菜など。◎ヒレ[#「ヒレ」はゴシック体]——カツ、ステーキ、ロースト、ポークチャップなどに。◎バラ[#「バラ」はゴシック体]——シチュー、酢ブタ、カレー、ブタ汁などに。
いずれにしろ、よくはやっている良心的な店を選び、料理の目的に合ったものを店員に聞いて、必要量だけ目の前で切ってもらうようにしましょう。