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第二章 大惨劇--壁の文字(3)

时间: 2023-12-20    进入日语论坛
核心提示:「なるほど、やっぱり探偵小説家だけのことはあるね。書くものはまずいがつかむところだけはつかんでいやアがる。いや、お止しお
(单词翻译:双击或拖选)

「なるほど、やっぱり探偵小説家だけのことはあるね。書くものはまずいがつかむところ

だけはつかんでいやアがる。いや、お止しお止し、憤おこるのはお止し。悪意でいったん

じゃないんだ。感服してるんじゃないか。なるほど、その傷痕の有無によって蜂屋か守衛

か決定する。それが第一だね。で、つぎは?」

 私はこみあげて来る怒りをやっとおさえた。

「ふむ、第二は八千代さんだ。八千代さんはなんだって昨夜ここへやって来たのか……」

「八千代? あれはしかし、ここへ来たわけじゃなかったろう。君は昨夜のことをいって

いるんだね。そう、八千代は昨夜また病気を起こしたらしい。しかし、まさかここ

へ……」

「仙石、君はあのスリッパの跡に気がつかないのか。八千代さんは昨夜たしかにスリッパ

をはいていたね……」

「君は……君は……それじゃこれは八千代の仕事だというのかい」

「馬鹿な、誰がそんなことをいうもんか。女の細腕でこんな恐ろしいことが出来る筈がな

いじゃないか。それにあの時八千代さんは、手に何も持っていなかった。しかもここには

兇器らしいものはない」

「兇器!」

 突然、直記がとびあがった。

「そうだ。おれはよっぽどどうかしている。兇器! 兇器村正! あの村正は金庫の中に

ある。有難い! するとおやじの仕業じゃないな。よし、寅さん、とにかくこの死体を調

べてみようじゃないか」

 私たちは死体の位置を動かさぬように気を配りながら、そっとズボンを脱がせてみた。

蜂屋の狙撃されたのは、右の太股だときいている、傷痕はたしかにそこにあった。

「よし、これできまった。被害者は蜂屋小市!」

 もとどおり死体にズボンをはかせると、私たちは隈くまなく室内を調べたが兇器らしい

ものはなんにもなかった。その代わりちょっと妙なものが私の眼をとらえたのである。

「おや、こんなところに変な字が書いてあるぜ」

 そこはベッドのすぐ右側で、壁のうえに釘くぎがひっかいたような疵きずが出来ている

のである。右からはじまって、左のほうへ斜うえにつづいているその疵は、よくよく見る

と横文字らしかった。多分ベッドに寝ている人物が、つれづれのあまり書きなぐったのだ

ろう。ちょうどそういう位置にあたっている。

「何だい、これは……横文字らしいね。何と読むんだろう」

 ところがそのときの直記の素そ振ぶりというのが、たいへん妙だったのである。

「な、な、なんだい、そんなもの。いいじゃないか。それより兇器を捜さなきゃ……」

 ひどく狼ろう狽ばいした様子である。

「まあ、待て。一見些さ細さいなことにだってどんな重大な意味があるかわからないもの

だ。ええ……と、ああ、そうか。さては蜂屋め、昨夜このベッドで八千代さんを待ってい

たんだな。ところが、いつまで待っても八千代さんが来ないのでこういう文字を書いたん

だろう」

「な、な、なんだって。いったい何んと書いてあるんだ」

 直記はびっくりしたように私のそばへよって来て、壁のうえを覗のぞきこんだ。

    Yachiyo

 壁の文字はそう読めるのである。

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