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八墓村-第二章 疑惑の人(11)

时间: 2022-06-05    进入日语论坛
核心提示:「平吉にとってはおもしろいどころの騒ぎじゃありません。声をかけると相手もびっくりしたらしく、さっと身をひるがえして、その
(单词翻译:双击或拖选)

「平吉にとってはおもしろいどころの騒ぎじゃありません。声をかけると相手もびっくりしたらしく、さっと身をひるがえして、そのままどこかへ消えてしまった。いえ、それまでどこからかさしこんでいた光が、ふっと消えてしまったので真っ暗になってしまって、何が何やらわからなくなった。……と、こういうんです。しかし平吉はその暗がりのなかで、たしかにだれかが、自分の枕元まくらもとをすりぬけていく気配を感じたといっているんです。平吉はもうすっかり酔いがさめた感じで、しばらくブルブルふるえていましたが、やっと勇気を出して電気をつけて屏風を見ると、屏風のなかにはちゃんと三人立っている。別に異状もありません。それで平吉もいくらか落ち着いたが、ふと思い出して雨戸を調べてみると、ちゃんと枢がおりている。また長廊下のほうの戸口も調べてみたそうですが、これまた外から錠がおろしてあるのでびくともしない。さあ、そうなると平吉はまた怖くなってきたのだそうで、どこからも人の出入りをした形跡がない以上、やっぱり屏風の絵が抜け出したのじゃあるまいか……と、そう考えると、欲も得とくもない、ただもう怖い一方で、とうとう雨戸をあけて逃げ出してきたというんです」

「変ねえ」

「変ですねえ」

私たちはまた顔を見合わせた。

「ええ、ほんとに変な話なんです。平吉はこんなこともいっていました。屏風の絵が抜け出したのをハッキリ見たのは昨夜がはじめてだったけれど、そのまえから変なことがたびたびあった、夜中に眼をさますと、なんだかこう、だれかにじっと見すえられているような気がしてならなかった。だれかが、どこからか、じっと自分を見すえている……そんな気がして、ゾッとするようなことがたびたびあった。あれはきっと屏風の絵が、屏風のなかから、自分を見つめているにちがいない、とそんなことをいうんです。むろん、屏風の絵がどうのこうのということは、平吉の思いちがいでしょうけれど、だれかがこの離れへときどき入ってくることはたしからしいんです。わたしはその証拠をつかんだんです」

「まあ、証拠ってどんなことですの」

美也子はいよいよ好奇心をあおられたらしく、ひと膝ひざふた膝まえへゆすり出した。

「わたし、平吉の話をきくと、固く口止めをしておいて、とにかくもう一度離れを調べてみようと思って、ここへ引きかえしてきたんです。ところが屏風のうしろに変な紙片が落ちていたんですの」

「変な紙片って……?」

「わたしもなんだかわからないんですけれど、古い日本紙に筆で地図みたいなものが書いてあって、『猿さるの腰掛』だの『天てん狗ぐの鼻』だのと、変な地名みたいなものが書き入れてあり、そばに歌みたいな文句が書いてあるんです」

私は思わずあっと低い叫びをもらした。美也子も同じように、大きなショックを感じたらしく、すばやい視線で私を見たが、すぐ眼を伏せて、じっと畳の上を見ている、そういう様子からみると、私が同じような紙片を、守り袋のなかに持っていることを、美也子も知っているにちがいない。私は彼女にそのことを話した覚えはないが、いつか諏訪弁護士がそれを見ているから、何かのはずみに美也子に話したにちがいない。

私たちの様子に気がついたのか、春代は不思議そうに二人の顔を見くらべながら、

「まあ、どうしたんですの。何かその紙片に心当たりでもございますの?」

美也子が知っているとあっては、私も隠すわけにはいかなかった。

「実は……ぼくも、同じような紙片を持っているんです。ぼくもそれがなんのまじないだか、どういう意味があるのか知りませんが、小さいときから守り袋のなかに入っているので……しかし、ぼくのには、『猿の腰掛』だの『天狗の鼻』だのというような文句はありませんが……」

私は守り袋からその紙片を出して見せるべきかどうか迷ったが、なんだかそうしたくなかったので、そのまま無言でひかえていた。春代も美也子も出してみせろとはいわなかった。しかし、春代はどうやらその紙片に何か深い意味があるらしいのをさとったらしく、

「まあ、変ねえ。わたしその紙片は大事にとってありますから、いつかあなたのとくらべてみましょう」

春代も美也子もそれきり黙りこんでしまった。春代にしてみれば、ほんのお座興のつもりで話し出した彼女の冒険談が、何やら私の身の上に関係がありそうになってきたので、そういう話を美也子のような他人のまえで、うっかりさらけ出した自分の軽率を後悔しているらしかった。美也子は美也子で、春代のそういう気持ちがわかったのであろう。それ以上、正体不明の侵入者について、意見をたたかわすひまもなく、倉そう皇こうとしてかえっていった。そしてそれから間もなく、私は問題の離れ座敷に、床をのべてもらって、ただ一人そこへ寝ることになったのだ。さまざまな妖しい疑惑や不安に悩まされながら。……

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