日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 横沟正史 » 八つ墓村 » 正文

八墓村-第三章 八つ墓明神(4)

时间: 2022-06-05    进入日语论坛
核心提示:私はこの座敷の外をとおって台所へ、慶勝院へお膳をひとつ届けるようにいいつけにいった。「あら、御院主さま、おかえりになった
(单词翻译:双击或拖选)

私はこの座敷の外をとおって台所へ、慶勝院へお膳をひとつ届けるようにいいつけにいった。

「あら、御院主さま、おかえりになったの。ええ、じゃそうしましょう。あとでだれかに届けさせましょう。ああ、ちょっと辰弥さん」

と、春代は私を呼びとめて、

「あなたをお使いしてはすまないのですが、お膳をひとつ、運んでくださいな」

「承知しました。どれですか」

「本膳がふたつあるでしょう。そのうちのひとつを持ってください。あとのひとつは私が持ちますから。……それで、向こうへ行ったら席におつきになって……」

「はあ、お寺さまのですね。これはどちらへ?」

「どちらでもいいのですよ。同じだから……」

私と姉の春代は、本膳をひとつずつ持って立ち上がった。

「お島さん、それじゃあとを順々に運んでくださいね。私はこのままお席につくから……」

「はい、承知しました」

本膳をささげた私と姉は、肩をならべて座敷へ入っていった。そして、ふたりの位置から私の持ってきたお膳は、しぜん、蓮光寺の洪禅さんのまえにおくことになった。姉は麻呂尾寺の英泉さんのまえにお膳をおいた。ふたりのお坊さんは、衣の袖をつまぐりながら、しずかに頭をさげた。

お膳をおいて私と姉が、めいめい自分の席につくと、すぐあとから、お島が手伝いの女たちの手をかりて、会席膳を順次運んできた。会席膳がのこりなく配られると、お銚子ちょうしが運ばれ、いよいよお斎ときにうつった。

「では、何もございませんけれど、どうぞ御遠慮なく……」

私があいさつをすると、洪禅さんと英泉さんはかるく頭をさげて、自分のまえにあった杯さかずきをとりあげた。

洪禅さんと名前をきくと、相当の大和尚らしくきこえるが、実際はまだ三十をちょっとすぎたばかりの痩やせぎすの、度の強そうな眼鏡をかけた、衣を着ているからこそお坊さまだが、そうでなければ、書生にちょっと毛の生えたようにしか見えぬ人物だった。それに反して麻呂尾寺の英泉さんは所化とはいいじょう、五十の坂をとっくに越したらしい年配で、胡麻塩の毛のこわそうな人物で、これもまた度の強い眼鏡をかけているので、眼がつりあがったように見え、両の頬に一本ずつ、深いしわが縦に走っているのが、過去の労苦のなにものかを語っているようであった。

こういう場合の話題は、たいてい故人の追憶からはじまるものだが、兄の死に方が、死に方だから、しぜんそれを避けるかたちになって、その代わりとして、話題の対象として洪禅さんがえらばれた。洪禅さんはまだ独身らしく、村長と西屋の主人、野村荘吉氏がお嫁さんの世話で奔走しているらしかった。わかい洪禅さんはそれをいわれると、うで蛸だこのように真っ赤になって、額からポタポタと汗を落とした。それがおかしいといって、美也子がはたからからかうので、洪禅さんの頭からは、ポッポッと湯気が立ちはじめ、一同大笑いになった。

だが、笑っていられるあいだはよかったのだ。それから間もなく起こった、あの血も凍るような恐ろしい出来事……それを思い出すと、私はいまでも、ペンを持つ手がふるえるのだ。

洪禅さんも、英泉さんも、酒はあまり強いほうではないらしく、すぐ杯をふせると、箸はしをとりあげた。ほかのひとたちも、おいおいそれにならうものが多く、御飯のお代わりにお島さんがいそがしかった。

ところが、そうしているうちに、

「あっ、こ、これ、どうなされた!」

という鋭い叫びに、私がふっと顔をあげると、麻呂尾寺の英泉さんが、うしろから洪禅さんの体をかかえるようにしている。洪禅さんは箸を落として、片手を畳につき、片手でのどから胸をかきむしるようにしていた。

「あ、く、くるしい、……み、水……」

とっさに四、五人、バラバラと立って台所へ走った。ほかの人々もみな中腰になった。

「これ、洪禅さん、ど、どうした。しっかりせんか」

村長がうしろへまわって、洪禅さんの顔をのぞきこんだとき、

「く、苦しい……胸が……胸が……」

洪禅さんはバリバリと畳に爪つめを立て、とても人間業とは思えぬほど、はげしい身ぶるいをしたかと思うと、お膳のうえにガーッと血を吐いた。

「キャッ」

だれかが悲鳴をあげた。一同は総立ちになり、なかには座敷から逃げ出したものもあった。

これが殺人第三景であったのだ。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: