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八墓村-第四章 四番目の犠牲者(18)

时间: 2022-06-06    进入日语论坛
核心提示:昔の人その晚、私はまた、抜け穴から地下道へもぐりこんだ。昨夜のようなことがあったすぐそのあとで、しかもまた、姉の春代が昨
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昔の人

 

その晚、私はまた、抜け穴から地下道へもぐりこんだ。

昨夜のようなことがあったすぐそのあとで、しかもまた、姉の春代が昨夜の私の脱出に気がついているのではあるまいかという懸け念ねんのあるとき、ふたたび地下道へもぐりこむのは、かなり冒険のように思われたが、何かしら私の体内には、やむにやまれぬ衝動があってどうしても地下道へもぐりこまずにはいられなかったのだ。それに典子に対する約束もあったし、もう一度彼女に会って、昨夜のことを口止めしておかねばならなかった。

私は納戸にある長持の底から、地下道へもぐりこんだが、それでもだいぶ躊躇ちゅうちょしていたので、時刻は昨夜よりかなりおくれていた。

私はまたろうそく片手に、自然石をきざんだ石段を下り、暗いトンネルをすすんでいく。一度往復した道なので、昨夜ほど不安はなかった。例の岩の関門も無事にくぐって、道がふたまたに分かれているところまで来たが、そこで思わず、ドキッとして立ち止まったのである。

ふたまたに分かれた道の右のほう、つまり濃茶へ抜けるトンネルのほうから、ときどきパッパッと閃せん光こうが走ってくるのだ。私はあわててろうそくの灯をふき消した。そして、暗くら闇やみのなかで、石のように立ちすくんでいた。

その道は、ふたまたの分かれぎわから、少し行ったところで急カーブをしているのだが、そのカーブの向こうからパッパッと閃光が走ってくる。閃光はカーブのあたりの洞窟の壁面を、めらめらとかすかになめるとすぐ消える。二、三度そういうことがあったのち、私はやっと、だれかがカーブの向こうで、マッチをすっているのだとわかった。

一瞬、私は寒波におそわれたようにゾーッとした。心臓が一瞬、鼓動を停止したのちに、こんどは逆にガンガン鳴り出した。全身から熱湯のように汗がふき出した。

ああ、だれかこの地下道のなかにいるのだ! 私は一昨日の晚のことを思い出した。自分の部屋へしのんできた人物、そして、地下道のなかで小梅様と小竹様をおびやかした人物……ひょっとすると、あいつがまたやってくるのではあるまいか。

また、ほのじろい閃光がもえあがった。しかしこんどはすぐには消えずに、しばらくめらめらともえあがったのちに、やがて別の色の光にかわった。わかった。ろうそくに火がついたのだ。ろうそくの灯はしばらく岩の上に明滅していたが、やがてそれが安定した光となっておちついた。どうやら相手は提灯ちょうちんを持っているらしいのである。やがて提灯の灯はしだいにこちらへ近づいてくる。

私はあわててふたまたに分かれた道の、左側にもぐりこんだ。私の心臓はまだはげしく躍っているが、考えてみれば、これは絶好の機会かもしれぬ。うまくやれば、毎度離れへ侵入する、曲くせ者ものの正体を見とどけることができるかもしれないのだ。

提灯の灯は、ゆらりゆらりと揺れながら、しだいにカーブに近づいてくる。私は地下道の岩の壁に、ぴったりと背中をくっつけたまま、相手の近づくのを、いまかいまかと待っていた。

やがて提灯がカーブを曲がったらしく、すぐ眼のまえに黄色い光が流れてくる。足音がしだいに近づいてくる。私は息をのんで相手の姿が、ふたまたへ現われるのを待っていた。やがて、とうとうその姿が私のすぐ鼻先へ現われた。そのとたん、私は足下をさらわれるような、大きな驚きにうたれたのである。

「典子?」

いかにもそれは典子であった。典子は、私の声に、びっくりして飛びあがったが、すぐ提灯の灯で私の姿を認めると、

「お兄さま」

いかにもうれしそうに私の胸へすがりついてきた。

「典ちゃん、きみはどうしてこんなところへやってきたのだ」

私の驚きはまだおさまらなかった。私は呆あっ気けにとられて、典子の顔を見守っていた。典子はしかし、案外平気で、

「お兄さまをさがしに来たのよ。だって、お兄さまったら、いつまで待っても来てくださらないんですもの」

「きみはまえからこの地下道を知っていたのか」

私の声は思わず詰問の調子になる。

「いいえ、そうじゃないのよ、あたしね、昨夜のところでお兄さまを待ってたのよ。ええ、ええ、ずいぶん長いこと待っていたわ。それだのに、いつまでたってもお兄さまったら来てくださらないんですもの。それで、ひょっとすると、穴のなかにかくれていらっしゃるのじゃないかと思って、ちょっとなかへ入ってみたの、すると、穴、ずいぶん深いでしょう。それであたし、ひょっとするとお兄さまはこの穴をとおっていらっしゃるのかもしれないと思って、おうちへかえって提灯をとって来たのよ」

私は典子の大胆なのにあきれてしまった。

「典ちゃんはそんなことをして、怖くなかったのかい」

「ええ、それは怖かったわ。でも、お兄さまに会えるかもしれないと思うと、そんなこと思っていられなかったんですもの。でも、あたし、やっぱりやってきてよかったと思うわ。こうしてお兄さまに会えたんですもの」


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