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八墓村-第七章 木こ霊だまの辻つじの恐怖(1)

时间: 2022-06-16    进入日语论坛
核心提示:第七章 木こ霊だまの辻つじの恐怖私はちょっとためらったが、それはけっして臆病おくびょう風に吹かれたからではない。なにごと
(单词翻译:双击或拖选)

第七章 木こ霊だまの辻つじの恐怖

 

私はちょっとためらったが、それはけっして臆病おくびょう風に吹かれたからではない。なにごとが起こったのかわからなかったからだ。しかし、つぎの瞬間、またしても、

「辰弥さーん!」

と、悲しげに救いを求める声を聞いたとき、私の心はすぐにきまった。姉が助けを求めているのだ。どんな危険を冒しても行かねばならぬ。私は懐中電燈をポケットにしまうと、すぐに、桟道にとりついた。渡りなれてしまえばこの桟道も、それほど危険とは思えない。

桟道の途中まで来たとき、またしても姉の声が聞こえた。こんどはよほどハッキリしていたが、その声はひとところにとどまっているのではなくて、洞窟の中を走りまわっているらしいのである。

だれかが姉を追いまわしている!……そう考えると、私はなんともいえぬ恐ろしさがこみあげてきた。姉を追っかけている人物の恐ろしさもさることながら、私は姉の健康を気遣ったのである。

医者は姉に、できるだけ安静にするようにと命じている。ちょっとの興奮、ちょっとの運動も、姉の心臓にはさわるのである。そうでなくとも昨夜の騒動が、体にさわりはしなかったかと気遣っていたやさきだ。私は夢中で桟道を渡ると、

「姉さん、姉さん、姉さん、どこにいるのです!」

と、危険も忘れて叫んだがそのときだった。あの異様な声と音響が、おどろおどろしく聞こえてきたのは。

「辰弥さーん!……」

「辰弥さーん!……」

「助けてえ……」

「助けてえ……」

と、姉の叫びのひと声ごとが、繰り返しとなって聞こえてくるのだ。そして、それにまじって闇の中を駆けめぐり、こけつまろびつする気配が、異様な、拡大された音響となって伝わってくるのである。

ああ、姉は──姉とその襲撃者とは、「木霊の辻」の中にいるのだ。

「姉さん、姉さん、いま行きます。しっかりしてください。いま行きます」

私は叫びながら夢中になって駆け出した。もうだれも怖くはなかった。周さんだろうが吉蔵だろうが、だれでも来いと懐中電燈をふりかざした。

私の声がとどいたのか、

「ああ、辰弥さん、早く来てえ!」

いままであてどもなく呼んでいた声は、急に希望と活気が加わって、逃げまわる音、救いを求める声はいよいよ明瞭になってくる。私は夢中で走るのだが、おお、なんとそれはじれったいことか!

「木霊の辻」は羊腸と曲がりくねっていて、救いを呼ぶ声はすぐ近く聞こえながら、なかなかそこへ行きつくことのできぬもどかしさ。しかも、姉とその襲撃者の一挙手一投足が、拡大された音響となって、手にとるように聞こえてくるのだから、それこそ搾しめ木ぎにかけて、全身の膏あぶらをしぼられるような感じであった。

「姉さん、姉さん、大丈夫ですか。相手はいったい、どんなやつです」

私は走りながら叫んだ。

「ああ、辰弥さん、早く来て……どんなひとだかわからないの。真っ暗だからわからないの。ひとことも口をきかないからわからないの。でも……でも……このひと、あたしを殺すつもりなのよ。ああ、辰……辰弥さん!」

私はギョッとして立ちどまった。一瞬、シーンと静かになったが、突然、

「キャーッ!」

という悲鳴が聞こえたかと思うと、土を蹴ける音。しかし、それもほんのわずかの間で、やがてどたりと何かが倒れるような音がしたかと思うと、ヒタヒタと忍び足に逃げていく音が、かすかな反響をともなって遠ざかっていき、やがてバッタリ聞こえなくなった。あとは死の静けさなのである。

私は頭から水をぶっかけられたような恐ろしさに、身じろぎもせずに立ちすくんだ。意気地のない話だけれど、歯がガチガチと鳴って、膝頭がガクガクふるえた。しかし、すぐ気を取り直して大急ぎで駆け出した。

私が暗闇の中に倒れている、姉の姿を発見したのは、それから間もなくのことである。

「姉さん、姉さん」

私は急いで姉を抱きおこしたが、そのとたん、世にも異様なものが姉の胸につっ立っているのに、思わず眼を見はった。それは鍾乳石であった。姉はそこらいちめんにぶらさがっている、鍾乳石のかけらで刺されているのであった。

「姉さん、姉さん」

私は夢中でまた叫んだ。すると姉はまだ死にきっていなかったとみえて、薄白くにごった眼を見開いた。そして私の顔のあたりを見つめていたが、やがてかすかにのどを鳴らすと、

「辰弥さん……」

と、つぶやくようにいった。

「ええ、そうです。ぼくです。姉さん、しっかりしてください」

私が体を抱きしめると、まっ白な姉の顔に、ごくかすかながら微笑の影がさした。

「いいえ、もうだめ。その傷よりも心臓が……」

姉は苦しげに身をもみながら、

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