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八墓村-第七章 木こ霊だまの辻つじの恐怖(5)

时间: 2022-06-16    进入日语论坛
核心提示:搜索复制慎太郎と美也子何もかもつじつまが合う。すべてが論理的である。大地をうつ槌つちははずれても、私のこの推理にあやまり
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慎太郎と美也子

 

何もかもつじつまが合う。すべてが論理的である。大地をうつ槌つちははずれても、私のこの推理にあやまりのあるべきはずはないと、うぬぼれていただけに、そのときの私の面食らいかたは大きかった。

「典ちゃん、昨夜のお通夜には麻呂尾寺の英泉さんも来てくれたんだろうね」

「ええ、いらしたわ。どうして?」

「あのひと、もしや小指にけがを……」

しかし、典子はキッパリそれを否定して、昨夜お斎ときを差し上げるとき、自分が給仕をしたのだから、そんなことがあれば気がつくはずだが、英泉さんは右も左もどの指も、けがなんかしていなかったと断言する。

私はいよいよわからなくなった。慎太郎と英泉さん以外に、この事件に関係のありそうな人物があるだろうか、私はもう一度この事件の顛てん末まつを、頭の中で描いてみたが、それらしい人物はひとりも思い出せなかった。すると姉の言葉がまちがっていたのだろうか。

「ねえ、お兄さま、どうかしたの。小指にけがをしたひとがなにかしたんですの」

「いや、そういうわけじゃないが、ちょっと気がかりなことがあってね。典ちゃん、こんど外へ出たらね、それとなく、そういうひとはいないか気をつけてくれないか」

「ええ、いいわ。そしてそういうひとが見つかったら、すぐ知らせにくるわ」

「ああ、そうしておくれ。それからこんど来るときね。糸を持ってきてくれないか。凧たこ糸いとかなんか丈夫な糸がいいのだが、なかったらふつうの木も綿めん糸いとでもいい。できるだけ長いのがいいんだ。糸巻きにまいたまま、五つ六つほしいんだが……」

「まあ、お兄さま、糸を何になさるの」

私はちょっとためらったが、どうせわかることだからと、

「実はね、ここにこうしてても退屈でしようがないから、この機会に洞窟の探検をしてみようと思うんだが、それには、長い糸がいるんだよ。できるだけ長い糸がいいんだ。洞窟の中で迷い子にならぬように、道しるべをつけていくんだから」

私の話を聞いているうちに、典子の瞳に奇妙なかがやきが現われた。

「お兄さま」

ささやくように、

「宝探しをなさるのね」

図星をさされて私ははっと真っ赤になった。すぐに言葉が出なかったが、やっとのどにからまる痰たんを切ると、

「典ちゃん、きみも知ってるの、あのことを……」

「それは知ってますわ。昔からの言い伝えですもの。それに……」

典子は声を落とすと、

「ほかにも宝探しをしてるひとのあることを、典子は知っているのよ」

「だ、だれ? それはだれなの、典ちゃん」

「うちの兄さん!」

「し──慎太郎さんが……」

私は思わず息を弾ませた。そして典子の顔を凝視した。

「ええ、そう。兄さんは恥ずかしいのか黙ってるけど、あたしはちゃんと知ってるの。毎晚おそくシャベルやスコップをかついで、こっそり出かけるのは宝探しにきまってるわ」

私はまた濃茶の尼の殺された夜の、慎太郎の異様な風体を思い出した。それでは慎太郎も私と同じように、宝探しをしていたのか。

「あたし、兄さんが気の毒だから、いままでだれにもいわなかったけれど。……あたし兄さんが気の毒でならないのよ。あのひと何もかも失ってしまったでしょ。地位も身分も未来の希望も……いえいえ、そればかりじゃないわ。恋さえ失ってしまったんですもの」

「恋……?」

「そうよ。兄さんはいまでも美也子さんを愛しているのよ。でも気位の高いひとだから、こうなっては口が裂けても、結婚してくださいとはいえないのよ。美也子さんは金持ちでしょ。ダイヤモンドをしこたま持っているんですもの。それに反して兄さんは、尾お羽は打ち枯らした痩やせ浪ろう人にん、口が縦に裂けてもプロポーズすることはできないのよ。だから宝でも掘りあてたら……と、当てにもならないことを当てにして、躍起になって探しているんです。それを思うと気の毒で、気の毒で……」

私はまたあやしい胸騒ぎをおぼえた。そういう慎太郎ならば、いよいよもって本家の財産に食指を動かさぬはずがない。当てもない宝探しに憂き身をやつすより、手近にある財産に眼をつけるほうが、どれだけ実際的だかわからぬ。それではやっぱり犯人は慎太郎なのだろうか。そしてあの小指のことは致死期にある姉の幻想だったのだろうか。

「そうすると典ちゃん、慎太郎さんには確信があるのだろうか。金持ちになって申し込めば、美也子さんが受け入れてくれるという……」

「もちろんよ」

言下に典子がこたえた。
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