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大金块-戴高帽子的狮子

时间: 2021-10-30    进入日语论坛
核心提示:烏帽子をかぶる獅子 宮瀬氏は、明智がこの暗号をどんなふうにといてみせるかと、待ちどおしくてたまらないように、じっと探偵の
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烏帽子をかぶる獅子


 宮瀬氏は、明智がこの暗号をどんなふうにといてみせるかと、待ちどおしくてたまらないように、じっと探偵の顔を見つめていました。
 名探偵は、いつものように、にこにこして説明をはじめます。
「ここには動物では獅子とカラスとがあります。それから烏帽子です。この三つのものが何を意味しているかということを、ぼくはいろいろと考えてみました。
 暗号のあとのほうには、さっきもいったように、東へ三十尺だとか北へ六十尺だとか、方角が書いてあるのですから、この獅子やカラスは、何かその方角のもとになる場所をしめすものにちがいないのです。
 ぼくは、たぶんその場所は、山の中だろうと思いました。山の中で、獅子だとか、カラスだとかいうようなものが何かないかと考えてみました。むろん、生きた獅子は日本の山にはいませんし、カラスにしても、生きたカラスでは、ほうぼうへ飛んでいきますから、目じるしにはなりません。ほんとうの獅子やほんとうのカラスではないのです。
 いろいろと考えているうちに、ぼくは、ふとこんなことを思いつきました。
 山のなかを流れている深い谷川の両がわなどには、よく大きな岩が、そびえているものです。そして、そういう大きな岩には、土地の人が、いろいろな名をつけていますが、この暗号の烏帽子や獅子は、その大岩の名まえではないかと考えたのです。烏帽子岩とか獅子岩とかいう名はよく聞くじゃありませんか。
 きっとその山の中には、烏帽子のような形をした大岩や、獅子の頭のような形をした大岩があるのだろうと思います。
 そう考えてきますと、このカラスの頭というのも、やっぱりカラスの頭に似た形をした岩の名かもしれません。カラス岩なんてあまり聞いたことがありませんが、でも、日本中をさがせば、どこかにないとはかぎりません。
 つまり、どこかの山の中に、烏帽子岩と獅子岩とカラス岩とが、一つところにかたまっているような場所をさがせばいいのです。烏帽子岩とか獅子岩とかが、ただ一つだけある場所は、ほうぼうにあるでしょうが、烏帽子と獅子とカラスと三つひとかたまりになっているような山が、二つも三つもあろうとは考えられません。
 ですから、この三つの岩のあるところを見つけさえすれば、あなたのご先祖が金塊をかくされた山の名がわかるわけです。」
 明智がここまで説明しますと、宮瀬氏は感じいったように、しきりにうなずいてみせて、
「なるほど、なるほど、いかにもあなたのおっしゃるとおりかもしれません。おもしろくなってきましたね。で、それから。」
と、さきをうながすのでした。
「そこでぼくは、山岳会員の名簿をくって、有名な登山家十人ほどに、そういう岩のある山をごぞんじないかと、電話や手紙で問いあわせてみたのです。」
「うん、すると。」
 宮瀬氏はイスをガタンといわせて、前にのりだしました。
「ところが、ふしぎなことに、そういう三つの岩のかたまっているような山を、だれも知らないのですよ。」
「それじゃ、だめだったのですか。」
「いや、山の中にはありませんでしたが、ひとりの登山家が、そういう名の三つの岩のある島を知っているといって、教えてくれたのです。その人は山登りばかりでなく、ひじょうな旅行家で、日本のすみからすみまで知っている人です。」
「島ですって?」
「そうです。ところで、宮瀬さん、金塊をかくされた、あなたのおじいさんが東京のかたということはわかっていますが、それよりもっとまえのご先祖はどこのかたですか、もしや三重県のかたではありませんか。」
 明智がたずねますと、宮瀬氏はびっくりしたような顔をして、答えました。
「ええ、そうですよ。わたしの先祖は三重県の南のほうから出ているのですよ。どうしてそれがわかりました。」
「それじゃ、いよいよあの島にちがいない。三重県の南のほうの海に、岩屋島(いわやしま)(仮名)という小さな島があって、その島には烏帽子岩、獅子岩、カラス岩という三つの大きな岩があるのだそうです。
 大神宮さまのある宇治山田(うじやまだ)市などよりも、ずっと南のほうに、長島(ながしま)という町があるのですが、そこから船で八キロばかりの荒海(あらうみ)の中に、その岩屋島があるのです。まわり四キロあまりの、人も住んでいない小さな島だそうです。
 岩の多い島で、遠くからながめると、ちょうど鬼の面を上むきにして、海にうかべたような形をしているので、その近所の人は、鬼ガ島と呼んでいるようです。そして、その島には、むかし鬼がすんでいたんだといって、こわがって、漁師などでも、船を近づけないようにしているということです。
 あなたのおじいさんは、ご先祖のすんでいた三重県に、そういう人の近づかない島のあることをごぞんじだったので、東京から船で、そこへ金塊をはこんで、かくされたのではないでしょうか。山の中だなんて思わせておいて、じつは海の中にかくされたのではないでしょうか。」
「なるほど、先祖の土地へ宝ものをかくすというのは、ありそうなことですね。」
「あなたはごぞんじなくても、あなたのおとうさんなどは、ときどきは故郷へ行かれたこともあるでしょうし、岩屋島にそういう三つの岩のあることも知っておられたかもしれません。ですから、おじいさんは、この暗号は、ほかの者にはわからなくても、あなたのご一家のかたにはよくわかるだろうと、お考えになったのではないでしょうか。」
「ああ、そうです。そうにちがいありません。明智さん、ありがとう。このむずかしい暗号が、そんなにやすやすと、とけようとは、夢にも思いませんでした。とにかく、わたしは、きゅうにその島へいってみたくなりました。もしおさしつかえなければ、明智さん、あなたもいっしょに行ってくださいませんか。」
 宮瀬氏は何十年というあいだ、だれにもとけなかったなぞが、明智探偵のおかげで、みごとにとけたものですから、もう大よろこびです。
「ええ、ぼくもごいっしょに行きたいと思います。岩屋島にかくしてあることは、だいたいわかったとしても、まだ暗号がすっかりとけているわけではありませんからね。やはり、島へ行ってしらべてみなければ、ほんとうのことはわからないのです。」
 宮瀬氏はそれを聞いて、やっと気づいたように、まゆをしかめました。
「おお、そうでした。わたしは、それをおききしたいと思っていたのです。獅子と烏帽子とカラスが岩の名だということはわかりましたが、その獅子岩が烏帽子をかぶるということは、いったいなんのことでしょう。それに、三つの岩はわかっていても、そのどこから、東へ三十尺(九一メートル)はかるのだが、まるでけんとうがつかないじゃありませんか。」
「そうですよ。そこがぼくにもまだ、よくわからないのです。獅子が烏帽子をかぶった時に、カラス岩の頭から、東のほうへ三十尺はかるというのでしょうが、その獅子が烏帽子をかぶるというわけが、ぼくにもわかりません。どうしても島へ行って、三つの岩を見なければ、わからないのです。」
 さすがの名探偵も、烏帽子をかぶった獅子というのが、どんなものだか、まるでけんとうがつきませんでした。
 ああ、烏帽子をかぶった獅子、なんだかまんがにでもありそうな形ではありませんか。しかし、このとっぴな組みあわせには、なんとなくきみの悪いようなところがあります。
 大きな獅子が、烏帽子をかぶって、荒海の中の無人島にじっとうずくまっていることを考えると、なんだかゾウッとするではありませんか。

 

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