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大金块-替身少年

时间: 2021-10-28    进入日语论坛
核心提示:かえ玉少年「明智さん、だいじょうぶでしょうか。わたしはあんな強いことをいったものの、なんだか心配でしかたがありません。あ
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かえ玉少年


「明智さん、だいじょうぶでしょうか。わたしはあんな強いことをいったものの、なんだか心配でしかたがありません。あいつは長いあいだ暗号をつけねらっていたらしいようすです。おそろしく執念ぶかいやつです。このつぎには、いったいどんなたくらみをするかと思うと、気が気ではありません。明智さん、何かうまいお考えはないでしょうか。」
 宮瀬氏は、青ざめた顔で、名探偵の知恵にすがるようにいうのでした。
「ぼくも今、それを考えているのです。あいつはもう一度、ここへやってくると思います。この家へ近づかなくては、暗号の半分を、手に入れることはできないのですからね。
 われわれはそれを待っていればいいのです。そして、ぎゃくにあいつのかくれ家をつきとめて、ぬすまれた暗号を取りもどせばいいのです。しかし、あいつもなかなか悪がしこいやつですから、たとえこの家へやってくるにしても、われわれのゆだんを見すまして、何か思いもよらないやりかたで、不意うちをするつもりにちがいありません。
 われわれは、それをふせぐことを考えなければなりません。相手のてだてにのらない用心をしなければなりません。」
 明智はもじゃもじゃの頭に、指をつっこみながら、しきりと考えていましたが、やがて何か思いついたらしく、にこにこしていいだしました。
「ああ、こいつは妙案だ。宮瀬さん、ぼくはうまいことを思いつきましたよ。これならばだいじょうぶ、相手にさとられる気づかいはありません。ちょっと電話を拝借します。ぼくの助手の小林という子どもを、ここへ呼びよせたいのです。」
 宮瀬氏があっけにとられて、ながめているあいだに、明智はもう卓上電話機をとって、明智探偵事務所を呼びだしていました。
「ああ、きみ、小林君だね。すぐここへ来てもらいたいんだ。宮瀬さんのお宅、わかっているね。あ、それから、れいの化粧箱を持ってきてくれたまえ。自動車で、急いでね。じゃ、待っているよ。」
 その電話が切れるのを待って、宮瀬氏はいぶかしげにたずねました。
「明智さん、その妙案というのは、どんなことなんです。わたしには、聞かせてくださってもいいでしょう。」
「それは、こういうわけなのです。」
 明智はあいかわらず、にこにこしながら説明をはじめました。
「賊が何かたくらみをするために、もう一度ここへやってくるとすれば、それをふせがなければなりません。いちばんいいのは、ぼくがお宅へとまりこんで、見はりをつとめることですが、それでは相手が用心をして近づかないかもしれません。
 たとえ変装するにしても、家族がひとりふえたとなると、あんな悪がしこいやつですから、きっとあやしむにちがいありません。それにしても、さいぜんあなたが、ぼくの名を賊におっしゃったのはまずかったですよ。ぼくが、この事件に関係しているとわかっては、賊はいよいよ用心ぶかくなりますからね。
 それで、ぼくのかわりにだれかと考えたのですが、けっきょく、ぼくの助手の小林に、この役をつとめさせることを思いついたのです。
 小林を使うというのには、わけがあります。じつはお宅へうかがったときから、気づいていたのですが、こちらのぼっちゃん、不二夫君といいましたね。あのぼっちゃんがからだのかっこうから、顔のまるいところなんか、ぼくの助手の小林と、ひじょうによく似ているのです。年は小林のほうが上でしょうが、ぼっちゃんは大がらなので、せいの高さなども同じぐらいなのです。
 そこで、ぼくはへんなことを考えついたのですよ。少しとっぴな考えですから、おおどろきになるかもしれませんが、助手の小林を不二夫君のかえ玉にして、しばらくここへ、とまらせていただくことにしたいと思うのです。」
 それを聞きますと、あんのじょう、宮瀬氏は目をまるくしました。
「へえ、うちの不二夫のかえ玉ですって? で、いったいそれは、どういうお考えなのです。」
「小林を不二夫君に変装させて、不二夫君の部屋に住まわせるのです。夜も不二夫君のベッドに寝させるのです。まさか、そのかえ玉を学校へ通わせることはできませんが、かぜをひいたていにして、休ませておけばいいのです。そして、賊のやってくるのを待つのです。小林はまだ子どもですが、探偵の仕事にかけては、じゅうぶん、ぼくのかわりがつとまるほどの腕まえを持っています。けっしてへまをやるようなことはありません。」
「なるほど、そういうわけですか。しかし、それじゃほんとうの不二夫のほうはどうするのです。不二夫がふたりもいては、おかしいじゃありませんか。」
「ほんとうの不二夫君は、しばらくぼくがおあずかりしたいのです。助手の小林に変装させて、ぼくの家にいていただくことにしたいのです。学校のほうは、少しのあいだ休ませなければなりませんが、そのかわりに、ぼくなり、ぼくの家内なりが先生になって、みっちり勉強させますよ。
 なぜ、そんな手数のかかるまねをするかといいますとね、これにはもう一つ別のわけがあるのですよ。というのは、ぼくは不二夫君の身のうえに、何か危険なことが起こりはしないかと、心配するからです。
 賊は、あなたの指輪の秘密を知りませんから、暗号そのものをぬすみだすことはできません。何か、あなたにひどい苦しみをあたえて、あなたががまんしきれなくなるように、しむけるにちがいありません。
 それには、さしあたって、不二夫君がいちばん目をつけられやすいと思うのです。子どもをかどわかして、その身のしろとして、暗号の半分をよこせという、よくある手です。ぼくは、賊がそれを考えているんじゃないかとおそれるのです。さっきの電話の口ぶりが、なんだかそんなふうに感じられましたからね。」
「ふうん、なるほど、おもしろい考えですね。そうすれば不二夫も安全だし、あなたの少年助手も、だれにもうたがわれないで、わたしの家にとまりこめるというわけですね。なるほど、こいつは名案ですね。」
 宮瀬氏はしきりに感心するのでした。目の中へ入れてもいたくないほどかわいがっている不二夫君を、賊にかどわかされでもしたら、それこそたいへんです。それを、明智探偵が、あらかじめふせいでくれるというのですから、これほど安心なことはありません。宮瀬氏は、喜んで明智の考えにしたがうことになりました。
 それからまもなく、(おもて)に自動車のとまる音がして、小林少年が、手に小型のトランクをさげて、書生に案内されてはいってきました。
 明智探偵は、小林君を宮瀬氏にひきあわせてから、小型トランクを受けとって、その中をちょっとしらべていましたが、何かうなずきながら、パタンとふたをしめて、
「宮瀬さん、これはぼくの変装用の化粧箱ですよ。この中にいろいろな絵の具やはけなどがはいっているのです。」
と説明しました。
 それから、明智は、別の部屋にいた不二夫君を呼んでもらい、小林少年とふたりをつれて、化粧室へはいりました。
 不二夫君は、小林少年に変装するのだと聞かされて、いやがるどころか、うちょうてんになって喜んでしまいました。あの有名な少年助手にばけて、日本一の名探偵の事務所で暮らせるのだと思うと、もう、うれしくてしようがないのです。
 それから三十分ほどしますと、明智探偵は、変装させたふたりの少年を左右にしたがえて、もとの応接間へもどってきました。
「ほう、これはどうだ。おまえが不二夫かい。すっかり少年探偵になってしまったね。それに、小林君も、そうして小学生服を着ると、不二夫とそっくりですよ。明智さん、あなたのお手なみが、これほどとは思いませんでした。じつにおどろきましたよ。」
 宮瀬氏はすっかり感心して、ふたりの少年を見くらべるのでした。
 それから、いろいろなうちあわせがすみますと、明智探偵は、不二夫君になりすました小林助手をあとにのこし、少年助手にばけた不二夫君をつれて、宮瀬邸を立ちさりましたが、探偵のそばによりそって、玄関の石段をおりていく不二夫君は、中学生のように長いズボンをはいて、りんごのようにつやつやした顔を、さもうれしそうにほころばせ、どこからながめても、名探偵の少年助手としか見えないのでした。
 さて、読者諸君、こうして世にもふしぎな取りかえっこの計略は、しゅびよくなしとげられたのですが、それにしても、明智探偵の考えは、はたしてあたったでしょうか。賊はもう一度、宮瀬邸へやってくるのでしょうか。来るとすれば、いったいどんなふうにして、何をしに来るのでしょう。
 その夜のことです。不二夫君にばけた小林少年は、かりのおとうさまの宮瀬氏に「おやすみなさい。」をいって、さきにベッドにはいったのですが、なれぬ部屋、なれぬベッドのことですから、なんとなく目がさえて、きゅうには寝つかれないのです。
 寝つかれぬままに、まじまじと窓のほうをながめていますと、ひるま明智先生から聞かされた、ゆうべのできごとが思いだされます。
 ああ、あのカーテンのあいだから、ピストルのつつ口がのぞいていたんだな。そして、この天井から、賊の脅迫状がひらひらとまいおりてきたんだな。そのときの不二夫君の気持ちはどんなだったろう、などと考えると、いよいよ目がさえるばかりです。
 ゆうべとはちがって、そのカーテンが少しひらいているので、窓のガラス戸が見えています。そしてその外は(すみ)を流したようなまっ暗やみです。
 ハッと気がつくと、そのやみの中に、何か白いものが動いていました。人の顔です。鳥打ち帽をまぶかにかぶった、あやしげな人の顔です。
 小林君は、思わずベッドをとびおりました。そして、窓とは反対の入り口のほうへかけより、ドアをひらくと、いきなり「喜多村さあん。」と、書生の名を呼びたてました。
 それから家中の大さわぎになって、宮瀬氏はもちろん、書生も、小林君も、手に懐中電灯を持って庭におり、あやしい人影の見えたあたりを、あちこちとさがしまわりましたが、いち早く逃げさったものとみえて、どこにも人のけはいさえないのでした。
 やっぱり明智探偵の心配はあたっていたのです。賊は案にたがわず、不二夫少年をねらいはじめたのです。その夜はさいわい、なにごともなく終わりましたが、このぶんでは、いつどんな手段で、賊は不二夫君を、いや不二夫君にばけた小林少年を、かどわかさないともかぎりません。
 そして、その心配は、まもなくじっさいとなってあらわれました。賊は、じつにふしぎな手段によって、小林君をかどわかしたのです。まるで考えもおよばないような、奇想天外(きそうてんがい)の手段によって、目的をはたしたのです。
 ああ、それはいったいどのような手段だったのでしょう。そして賊のために、まんまとかどわかされた小林君は、どこへつれさられ、どんなめにあうのでしょうか。

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